買い物から帰宅すると、彼氏をNTRれた義妹が部屋で泣いていた。俺は妹を泣かした奴らに怒りの鉄槌を下す

第7話 優しさの少なからずな成果

　5月初旬の金曜日、和奏が元彼との裏切りに心を傷つけ、涙に暮れた日から数日が経過した。

　亮の支えによって、和奏は少しずつ日常生活を取り戻そうと努力している。

　だが、心の傷が完全に癒えるには時間が必要であり、亮もそれを理解していた。

　週明けの月曜日、亮は和奏を気遣いながら学校に通い始める。彼女が元彼と直接対面するのを恐れていることを知り、亮はできる限り彼女のそばにいることを選んだ。朝の登校時も、休み時間も、亮は和奏を見守り、彼女の心の支えになろうと努めていた。

　昼休み。亮は約束通り和奏の教室へと足を運んだ。廊下で彼を待つ和奏の姿は、どこか不安げではあるものの、亮を見つけると安心したように微笑む。

「お兄ちゃん、ありがとう。本当に来てくれるなんて。」

「当たり前だろう？約束したじゃないか。今日は何としても和奏と一緒に食べたかったんだ。」

　二人は屋上へ向かい、静かな場所で弁当を広げる。

　風が心地よく吹き抜ける中、亮は和奏の様子を注意深く見守っていた。

「最近、ご飯を誰かと食べるなんてこともなかったから、ちょっと変な感じ…」

　和奏がぽつりと漏らす。

「そうか。でも、俺がいてくれることで少しでも楽になるなら、それでいいんだ。」

　亮の言葉に、和奏は小さく頷いて箸を進める。やがて、二人の間に温かい沈黙が流れた。

　食事を終えた後、和奏は少しだけ笑顔を見せながら話しかけた。

「お兄ちゃんがこうして一緒にいてくれるだけで、本当に助かってるの。」

「それならよかった。でも、無理はするなよ。何かあったら遠慮せずに言え。」

「うん。ありがとう。」

　亮の目に映る和奏の笑顔は、少し前の悲しみに暮れた表情とは異なっていた。亮は、自分の支えが彼女の心に届いていることを実感し、それが彼自身の励みにもなっていた。

　放課後。亮は再び和奏の教室前で彼女を待っていた。扉が開き、和奏が姿を現すと、亮は笑顔で声をかける。

「お疲れ。今日はどうだった？」

「うん、大丈夫だったよ。元カレには会わなかったし…でも、やっぱり少し怖かった。」

　亮は和奏の言葉に頷き、彼女を励ました。

「そうか。無理せず、少しずつでいいからな。俺もずっと傍にいるから。」

「うん。本当にありがとう。お兄ちゃんがいてくれるだけで、こんなにも安心できるんだ。」

　二人は並んで家路を辿る途中、公園で少し休憩することにした。

　和奏はベンチに座り、夕暮れの空を眺めながらぽつりと言った。

「私、お兄ちゃんがいるだけで幸せなんだなって思う。こんなに優しくて頼りになる兄がいるなんて、恵まれてるよ。」

「それはこっちの台詞だ。俺も和奏がいてくれるから頑張れる。」

　自宅に帰った後も、亮は和奏を気遣い続けた。彼女が少しでも気持ちを楽にできるように、些細なことにも耳を傾けた。和

　奏はそんな亮に、少しずつ心を開いていく。亮の存在が、彼女にとって唯一無二の心の拠り所となっていた。

　数日後、和奏は亮に向かってこう言った。

「お兄ちゃん、私ね…この先のこと、もっと強くなれるように頑張ってみるよ。まだ辛いけど、ちゃんと向き合ってみようと思う。」

　亮はその言葉に嬉しそうに頷き、彼女を応援する。

「その調子だ。辛いときは遠慮なく俺を頼れよ。和奏は一人じゃないからな。」

　和奏はその言葉を胸に刻み、前を向き始めた。亮の温かな支えが、彼女の新たな一歩を後押ししていた。義兄妹の絆は、困難を乗り越えるたびに強く深まっていくのだった。