犯鳥は、アイツだ!

もっちゃん(元貴)

事件の一部始終

 ある日の夕方、自転車で隣の市にある高校から自宅に向かって帰っている時に事件は起こりました。


 片側一車線の道路の路側帯を自転車に乗って走行していたときに、急に後頭部に強い衝撃が!!


    「うわぁぁぁーー!!」


 わたしは、急に頭に衝撃を受けたので驚いて自転車を運転しているのに、目をつぶってしまったのです。


 謎の衝撃が数回あった後、目を開けるといきなり電信柱が!


 急ブレーキをかけましたが、当然間に合わず、


      ガッシャーン!!



 電信柱に衝突して、その衝撃で身体が道路側に投げ出されましたが、足をもつれながらも体勢をなんとか立て直し、地面に立つことができました。



 ふぅ〜危なかったー!と思っていたら、


      キィーーー!!



 車の急ブレーキが聞こえると、わたしの立っているギリギリで乗用車が停まったのです。



「わっ!」と驚いて尻餅をついてしまいました。


      なぜ?車が!


 ってあれ?辺りを見渡すと、いつのまにか道路の真ん中にいる!

  


 わたしが戸惑って立ち上がらないままでいると、乗用車から、スーツ姿の40代ぐらいの男性がでてきて、


 「きみ、大丈夫かい?」



 「あっ、はい。身体のほうは‥‥‥」


 立ち上がって、手でさっき衝撃があった頭に血が出てないか確かめるが、どうやら出ていないようだ。


 「大丈夫のようです」


 「それにしても災難だったね。きみの頭にアレが襲っているのを見て、危ないと思ってブレーキを早めに踏むことができ、きみを轢かずにすんだから、わたしも助かったよ」


 スーツ姿の男性が、電信柱の1番上を指刺したので見てみると、なんとカラスの巣があり、そこにさっきわたしを襲ったと思われるカラスがいたのです。


 わたしの頭への衝撃は、カラスだったのか!

たしかに、カラスの雛が巣にいるときは、子を守るため近づいてきたものに対して攻撃を仕掛けると聞いたことがあったけど、まさか自分がそれを実体験するとは!


 カラスのせいで車に轢かれそうになったので、カラスに対して初めは怒りを覚えましたが、カラスだって子を守るために行動したわけですから、なんともやるせない気持ちに。


 運がなかったと思って、割り切ることにしました。


 そう言えば、まだ謝っていなかったと思い、「ご迷惑をかけました!」と頭を下げるとスーツ姿の男性は、「きみも気をつけて運転するんだよ」と言い残して車に乗り込み、去っていきました。


 その後、わたしは道路に投げ出されたカバンを回収して、ひっくり返っていた自転車を起こしました。


 自転車を見てみると、前カゴがへこんで曲がった程度であとは、大丈夫だったので、そのまま自宅に帰りました。


 

 あの時、もし、乗用車の運転手がカラスに襲われているわたしに気がついていなかったら、乗用車じゃなくトラックだったら、急ブレーキが間に合わず轢かれていたかも知れません。


 それ以来、視野を広めて自転車の運転を心がけるようになりました。


 そう言っても、大学生の頃に、事故にあうのですが、その話は別の話。

 


          終

 

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犯鳥は、アイツだ! もっちゃん(元貴) @moChaN315

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