11月11日

万木

11月11日

 教室で、ぽきり、と

 ポッキーの折れる音がする


 きゃっとはしゃぐ甲高い声

 男の照れ笑い

 囃し立てるざわめき


 今日という日は

 娯楽として消費される


 彼らでは知らない

 百年とすこしまえ

 この日を迎えるまでに

 ぽきり、と折れた数多の希望を


 血の海に

 赤い花が咲く


 軍服の男が銃を向けるは

 無邪気な子どもの袖の下


 赤い花に接吻キスを落とせば

 紅は移って花は枯る


 金の髪がみなもを揺蕩う

 目から溢るる無数の涙は


 海の濃度をさげてゆく


 冷淡で

 生ぬるい

 つまらない

 贅沢な日々


 漫然と過ごす

 享受する


 そらに浮かぶもこもこ雲は

 子どもの遊び場

 大人のねどこ


 黒板をなぞる音

 かみころすあくび

 伏せたまつげ

 まるめた背中はねこのよう


 そんな日常を通りすぎながら

 今日

 口を尖らせてチョコを溶かす

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11月11日 万木 @dear__you

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