紅頭巾のルナ
@amaguriko
第1話
あらすじ
「奴らは あの彗星の陰に隠れて この星を侵略しにやってきたんだ」
2061年 ハレー彗星の接近と共に 狼種の異星人が地球の蹂躙を開始
圧倒的科学技術力の前に 核反応を封じられた人類
食用として人間を食い散らかす 異星人たち対抗するには物理攻撃あるのみ
だが世界の軍隊は貧弱すぎた
反物質による自爆を決意した世界政府
「ルナ計画」一人のマッドサイエンティストが自分の娘を実験台に
ナノマシン自己修復型アンドロイドの開発に成功していた
彼女を突き動かすのは 5グラムの結晶を閉じ込めた「反物質エンジン」
ルナ計画捜索隊 最後の生き残り「ユーゴ」パンドラと書かれた
起動スイッチに 残された「希望」を求めて
(終わりの始まり)
2061年 繁栄を謳歌する人類は 夜空を眺めていたハレー彗星
76年に一度地球に接近する彗星その天体ショーを最後に人々から笑顔が消えた
「奴らは あの彗星の陰に隠れて この星を侵略しにやってきたんだ」
正方形の巨大な物体が 月明かりに照らされて宇宙に浮かんでいた
そこから幾千幾万もの 飛翔体が衝撃波を放ちながら
世界各地へと 飛び散っていった
異星人 人類の倍以上の巨体を振りかざし問答無用に殺戮をはじめ
人々を食い散らかした
奴らのリーダーが前世紀に打ち上げたボイジャーと言う探査機を
放り投げ 高らかに宣言する
「地球人類の諸君 この星を教えてくれたことに感謝する
これより 蹂躙を開始する」
この星の絶望が始まった
(ミヤマエ・ユーゴ)
日本製たいげい型潜水艦 アメリカ大陸へ向けて潜水進行中
この艦の艦長 イナバが口を開いた
「太平洋の海図データの提供 感謝します
まさかこの老いぼれ艦で太平洋を渡るとは 思っても見ませんでしたからなぁ」
オブザーバー兼「オペレーション・デュラック」のアメリカ大陸責任者
アリア・クライスラーが笑みを返す
「それには及びません 鬼ごっこをするなら我が国の原子力潜水艦ですが
かくれんぼするなら メイドインジャパンが最強と伺っております」
大笑いする イナバ艦長
「ガぁ~はっはっはぁ おっと作戦中でしたなぁ~」
ソナー員が 艦長をにらむ
咳払いを一つ アリア
「もっとも核反応を奪われた今 我々の得意な鬼ごっこも
出来なくなりましたけれどね」
静寂に包まれた艦内 イナバ艦長がつぶやいた
「多くの船乗りたちが 犠牲になりました
この艦を守るためにそして希望を託したのです 奴らに鉄槌を下す彼らに」
艦内モニターに映し出された一人の少年
超ロングバレルのレールガンの手入れをしている
「おっと 希望と言う言葉は失言でしたかなぁ」
艦長の言葉に違和感を感じたアリア
「それはどういう意味でしょうか? イナバ艦長」
彼女の腰から下げたホルスターに目をやり
そのまま視線をアリアに向けるイナバ艦長口を開く
「オペレーション・パンドラボックス」
ゆっくりとホルスターに手をかけるアリア
「もっともその箱の中には希望など存在しないと言うことですが」
リボルバーのグリップを握り身構えるアリア
「なぜそのオペレーション・ネームを?」
慎重に艦内を見渡す アリア
落ち着き払った艦内 アリアを諭すイナバ艦長
「落ち着きましょう アリア・オブザーバー我々は同じ人類ではありませんか
彼の前ではウソ偽りなど通用しませんので」
艦内モニターに手を向け視線誘導するイナバ艦長驚くアリア
「ユーゴ・ミヤマエ!」
全てを悟り ホルスターから手を放すアリア
「わかったわ そう言うこと そう言うことなのね」
(誕生)
「懐かしい記憶 生まれる前の記憶 母親の胎内で聞いた心音」
(バーチャルグラス)をかけ 手のひらに乗る独立型AIの端末を
操作しながら物思いに吹ける ユーゴと言う少年
「少しのノイズと 脈打つ鼓動 時には強く 時には悲しく時に愛おしく
時に楽しく 俺は人の感情と言うものを学んだ」
「そこはとても暖かく 愛というものに包まれた場所」
「時々話しかける 母の言葉が羊水をを伝わり俺を心地よくしてくれた」
「そして誕生の時 不安と恐怖を母親から感じた
もがき苦しみながら俺は抵抗した
頭蓋骨がきしむ 体全体に受ける圧力 遠ざかる母親の心音だが未知の恐怖に
なすすべもなく 眩しい世界へと
母親との最後のつながりが切られた時」
「俺は泣いた 激しく泣いた」
(IQ測定不可能の少年)
緊張の解けた艦内 コーヒーを勧めるイナバ艦長
「このご時世 インスタントですがお口に合いますでしょうか?」
差し出されたコーヒーを一口 眉間にしわを寄せるアリア
「最後に飲んだコーヒーの味が・・無力なのですね 我々は」
コーヒーカップを見つめながら イナバ艦長
「覚悟していたのですね あなたは」
「カモフラージュされたオペレーションデュラック
パンドラボックス 最後に残された物
反物質による対消滅
それを引き金に地球規模での火山爆発 それ即ち 全人類による 自爆」
苦虫を噛む アリア モニターに映るユーゴをにらむ
「全てを知る者 ユーゴ・ミヤマエ
我々の量子暗号を打ち破ったということ?」
間髪入れず イナバ艦長
「プロファイリング 全ては彼の思考がなせること
ひと月前 彼は時間を天秤にかけた
暗号の解読 世界政府要人の監視 そしてネットに溢れるフェイク情報」
「暗号解読 AIでの総当たり 前世紀のものならともかく
量子暗号を解き明かすのは時間的にも理論的にも現実的ではない
もっとも 彼による数学の新定理 もしくは物理学量子理論の
新構築による発見があれば それも可能かと」
間髪入れず アリア
「ラングランズ・プログラム 人類の英知 彼は全てを?」
紅頭巾のルナ @amaguriko
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