期待を裏切らない、安定のブラックさ!

 やはり、とってもブラックな物語。また、ご馳走になりました!

 『誕生日に花を』と、なんか爽やかなタイトルです。
 そしてぼんやりと読む感じだと、主婦が壜の中に花を活けるという、なんか穏やかで詩的な描写が続きます。「あれ、今回は珍しく平和な話?」と一瞬だけ思ってしまいました。

 でも、「いやいやいや!」と、途中ですぐに気づきます。

 一見穏やかそうな雰囲気が続いてますが、明らかに『何か』が紛れ込んでます。

 裏に何があったのか。夫にとって、『それ』はどんなものだったのか。
 色々と考えさせられる感じもあり、ラストまで読んでじわじわと迫るものがある作品でした。

 ちょっとした描写を紛れ込ませることで、作品の中に明確な『毒』を描き出してみせる。実に見事な手法でした。

 ああ、とっても楽しかった!