生きる呪い

イーブンハイサム

第1話

二つ足の悲鳴が混じった爆発音が戦場で少年は虫ケラように群がる敵を今では型落ちの機関銃で射殺する。憎しみを込めて丁重に引き金を引き、振り返らずに前へ進む。これがこの少年の日常だ。少年の名はチマハ。生まれた頃からラットのように生き、拾われた傭兵団で独裁国家ラブドスに対する反乱をしていた。

曾てこの世界は深刻なエネルギー不足に悩まされていた。しかし太陽エネルギーを擬似的に再現する発電「イカロス」をラブドスが開発した。各国はイカロスのエネルギーを得るべく導入をしたがことごとく失敗に終わり、結果ラブドス以外の国を巻き込んだ爆発が各地で発生、土地は不毛になり生き残りはラブドスに逃げ込んだが金のないものは郊外に追放され荒野を彷徨うハメになった。その間にラブドスは壁を築き外を棄民を捨てる場所にした。これが全ての始まりである。

「今日もたくさん殺したね」

可憐な少女は赤黒いタオルでチマハの顔についた血や汚れを拭き取った。大きな瞳と聖母のように笑う顔に似合わない重武装を纏う少女の名はセバティ。彼女の母親は上流階級の娘だったが望まぬ妊娠をし、彼女を産んだ後は七年までは屋敷に監禁されてたが脱走して革命軍に行き着いた。

現状革命軍にいる若い者は二人しかいないので意気投合し、背中を預け合う関係になった。

「あんまり顔や装備を汚さないでね。何度も言っているけど水は貴重だから」

世話焼きな性格故に当たり前な注意をよくするセバティに弊壁しながら敵軍の死体から武器を奪い取り基地へ一緒に帰って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生きる呪い イーブンハイサム @Alhghism221

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る