とと姉弟

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第1話

涼やかな海風に心地良さを感じながらも複雑な面持ちで佇む男性の姿がそこにあった。


唯斗

「姉さん‥ここで‥」


(時を遡ること25年‥)


翔(ゆいと父)

「おーい、ゆいとーちょっといいか〜」


ゆいと(6歳)

「なーに?パパ〜」


「お前に言わなきゃいけないことがあってな‥

実は父さん再婚することになってな‥

再婚って意味わかんないか‥

うーん、結婚をもう一回することになってな、新しい家族ができるってことだ」


翔の最初の妻は唯斗を出産後すぐに早逝していた‥


ゆいと

「パパ2かいもけっこんするの〜?

よくばりさんだね」


「手厳しいな笑

新しいママとお姉ちゃんが新しくできるぞ」


ゆいと

「えー!すごーい!やったーーー」


「来週から一緒に暮らすから楽しみにしてろよ」


ゆいと

「わーい」


(一週間後‥)


久美

「唯斗くーん、会いたかったよ〜

今日から私があなたのお母さんよ。

久美(くみ)って言うの。まだお母さんっていうの難しかったらくーみんって呼んでね。

よろしくね☺️」


ゆいと

「わーい、くーみんママだ〜」


久美

「ふふふ可愛い子ね」


「今のところ真っ直ぐ育ってくれてるよ笑」


久美

「それから、こっちが私の子で理音(りおと)って言うんだけど‥」


りおと

「ちょっとあんた!わたしのママにむかっていきなりなれなれしいのよ。ふんっ( ̄^ ̄)」


ゆいと

「ええ〜だってこれからボクのママになるんじゃないの?

うーんと、りおとちゃん?」


りおと

「ちょ!わたしのなまえをきやすくよばないで。あとわたしはあなたのおねえちゃんだからちゃんでよばないで😤」


久美

「(あなた‥やっぱり唯斗君‥)」


「(あぁ、まあこいつなら大丈夫だと思うよ。)」


「はいはい、二人とも仲良くなー」


ここから始まる二人の物語‥

真っ直ぐ育つ唯斗

お転婆な理音

二人が紡ぐのは‥


(5年後‥)


同級生A

「おい、ゆい斗!お前お姉ちゃんいるらしいな!今度紹介しろよ」


ゆい斗

「絶対やだよ‥あとがっかりすると思うよ‥

かなりツンツンしてるから‥」


癖がある同級生B

「そんなこと言わないで紹介するのね。

お姉さんのお名前はなんて言うのね?」


ゆい斗

「いやいや、名前は理音(りおと)だよ」


癖強の同級生C

「ほほう同じ3文字で同じ『と』で終わるんじゃのぅ。

わしが『とと姉弟』と命じてさんぜようかのぅ」


同級生A

「長老からあだ名いただいたぞwよかったなw」


ゆい斗

「勘弁してくれー」


(さらに5年後‥)


理音

「人の話はちゃんと聞きなさいよ!」


唯斗

「人によりますな」


理音

「どう言う意味よ!」


唯斗

「やれやれʅ(◞‿◟)ʃ」


すれ違う2人のように見えて徐々に距離を詰めていく‥

この時はまだ気付いていなかった‥


唯斗

「(全く‥姉さんはなんでいつもああなんだ‥

いや俺が素直じゃなくなっているのか‥)」


理音

「全く‥唯斗のやつ‥

ここに来てもう10年か‥

でもこのままじゃいけないよね‥」



唯斗

「姉さん黙ってれば可愛いんだけどなぁ‥

もう姉さん来年高校卒業か、時が経つのは早いな」


理音

「もう私には時間があんまりないのよね。

あいつ元気にやっていけるかしら‥」



(理音の誕生日)



翔&久美

「理音誕生日おめでとう🎉」


唯斗

「また歳を取ったな、おめでとう。

ほらよ|'ω')ノ⌒」


理音

「普通に渡しなさいよ笑」


唯斗

「ふん(-ω-´ )プイッ」


「素直じゃなくなったな〜笑」


久美

「あらあら、前はあんなに素直だったのにね〜

理音も来年卒業ね‥」


理音

「あはは、でもプレゼント🎁くれるあたり優しいじゃん笑笑」


唯斗

「卒業したらどうするのさ?」


理音

「内緒だよ笑笑」


唯斗

「こいつーもうしらん(-ω-´ )プイッ」


久美

「ほらほら、ケーキ食べましょ!」


「わーい\(^o^)/」


唯斗

「父さん、子どもか笑」


理音

「ふふふ」


(トクン‥あれ、俺今‥)



(理音卒業の日)



唯斗

「今日は卒業式か〜先輩達にもう会えなくなるんだな」


同級生A

「あれ?そういえばお前の姉さんも卒業か?」


唯斗

「まあ別の高校だからあんまり実感湧かないけどな〜まあ、卒業したら1人暮らしするらしいし、やっと自由を手に入れられるわ」


癖強の同級生C

「また強がっておるのぅ‥そんなこと言ってると本当に姉ちゃんどっか行ってしまうぞよ‥

ところで姉ちゃん何カップ?」


唯斗

「うおいw強がってはないわw」


癖が強い同級生B

「多分Cなのね‥美乳と予想‥」


唯斗

「お前もかwいい加減にしなさい」



(その頃の理音‥)


「理音ちゃん、もう行っちゃうんだな‥」


理音

「ええ、今まで本当にありがとうございました‥お母さんにもどうかお伝えください‥」


(唯斗帰宅‥)


唯斗

「ただいま〜」


「おかえり唯斗、ちょっと話いいか」


唯斗

「うん、いいけど姉さんと母さんは?」


「母さんはちょっと休んでる。理音ちゃんは‥

まあ、座れよ」


唯斗

「え?なんだよ〜」


「唯斗‥落ち着いて聞いてほしいんだけど‥

実はな理音ちゃんはもうとっくにこの世を去っていてな‥」


唯斗

「なんだよ!冗談にも言っていいのと悪いのがあるだろ!」


「まあ落ち着けって。突拍子もないことを言ってるのはわかってるが事実なんだ‥」


唯斗

「仮にそれが事実だとして今朝もいたじゃないか!それはどう説明するんだよ!」


「それはな俺の血筋に関係があるんだ‥

まだ信じられないのはわかるが、実は俺の家系は代々亡くなった方の想いが強力な場合、現世に具現化して視えるという特殊能力があってな‥

普通にその具現化した人は視えるし、人によっては何十年も視える‥

その人は成長もするし、もし生きていたらを俺の家系は実際に視ることができるわけだ‥」


唯斗

「なんだよ‥それ‥

じゃあ俺は父さんの血を引いているから‥

他の人はどう見えてたんだよ!」


「他の人にはもちろん見えない‥俺らにしかな‥

ただ不思議なことに食事はしてたように視えてただろ?

でも実際にはそこにあったままなんだよ‥

俺も最初はこんな能力要らないって悩んださ‥

でもな‥みんなこう生きたかったっていう思いの人達がいっぱいいてさ‥」


唯斗

「じゃあ母さんは初めから知ってて‥

それでも‥」


「ああ、理音ちゃんは母さんが産んで5年後に亡くなったんだ‥

その2年後に俺と出会ってな‥」


唯斗

「そんな‥理音はまだどこかにいるの?」


「多分な‥時間はあまりなさそうだったけどな‥

もう時間がないことをわかってて出ていったみたいで、俺に母さんへの伝言を伝えて出ていったよ‥」


唯斗

「嘘だろ‥俺にはなかったの?」


「多分だけどな‥お前には直接伝えたかったんじゃないか?」


唯斗

「でもどこにいったかわからないじゃないかっ‥!」


久美

「・・・うぅ‥唯斗、ここに行ってみて‥

多分そこにいると思うから‥」



(ザザ〜ザ〜ザザ〜)

そこは波音が優しく響く海辺であった‥



理音

「唯斗‥?ここに来たってことはあなたのお父さんから話は聞いたみたいね。場所はお母さんでしょ、ふふふ‥」


唯斗

「嘘って言ってくれよ‥」


唯斗が到着した頃には理音の姿が少し消えかかって半透明になっていた‥


理音

「私ここで死んじゃったんだ〜

小さい頃にね私‥好奇心旺盛だったから‥

でも生きたくて生きたくて頑張ったんだけど、身体が限界だったみたいで‥

でもね‥お母さんがあなたのお父さん、翔さんと出会った頃に翔さんには視えてることがわかってさ‥

第二の人生?

普通の人とは全然違う形なんだけどね笑

すごく、すごく楽しかったよ!

でももう第二の人生も終わりみたい‥」


唯斗

「もう正直感情が追いつかねえよ!

なんで半透明なんだよ‥

俺もすっげえ楽しかったよ!

もう姉さんなしの生活は考えられなくなっちまうくらいに‥!」


理音

「やっと素直になった笑

もっと早く素直になってほしかったな〜

私あんたのこと好きだったよ!

家族としても男としてもね!

唯斗ならこれからいい人生歩んでいけるよ!

お姉ちゃんが保証してあげる!

じゃあね👋」


唯斗

「俺も好きだよ!

そんなこと言わないでもっといてくれよ!!」


理音の元に駆け寄り手を伸ばす唯斗‥

しかし、その手は触れ合うことはなく‥


理音

「ゆいとまた来世で会おう‥」


唯斗

「りおとねえさーーーーーん!!」


(10年後‥)


涼やかな海風に心地良さを感じながらも複雑な面持ちで佇む男性の姿がそこにあった。


唯斗

「姉さん‥ここで‥

ここで亡くなったんだよな‥

なかなか来なくてごめんな‥

ここに来ると感情が溢れちゃいそうで中々来れなかったんだ‥


姉さん俺結婚したよ‥

今日はその報告に来たんだ‥

子どもももうすぐ生まれる予定でさ‥

女の子だってさ‥

名前は‥‥‥

じゃあまたね👋」


そのとき海風が少し強くなり‥


「ゆいと、幸せそうで姉ちゃん安心したよ‥」


その声は唯斗に届くことはなかったが、唯斗はどこか嬉しそうな表情で前を進むのであった‥

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