食事

@anchor1no1

短編・読み切り


以下本文↓



ー美味しそうに俺の目を見てほしいー


一度舌で受けるとそれは

勝手に雌の舌に絡みついて

うごめいて大人のキスをしながら

「もっと」とせがむ

息継ぎしたくてもできないぐらい

雌の口を塞いで

味と酸欠で頭が真っ白になる

鼻から濃縮した生臭い匂いが

抜けていくたびに

雌は腰の奥が外に引っ張られてしまう

臀部の奥にもキスをしたい

それに届く固くて柔らかい侵入者で




君はいけないことをしてると思い込むほど興奮してるけど、俺は真剣に君を僕のものにしたいだけだよ

だから脇腹が痛くなるぐらい、君の中を探し回りたい

一緒に安らげる気持ちを、君の中で見つけたい

君にあげる、内蔵と脊椎を貫いて頭まで響いていく愛を

そう思いながらまた僕の飽和状態は勝手に

根元から先にかけて、飢餓がリロードされていく

潔癖な君は嫌がりそうだけど

その指で慰めてる夜を想像すると愛しくて

思わず指先を愛しく味わってしまった

君の指は何かを想像してしまったみたいで

君を孕みたい雌だけにさせる血管の浮き出た罪の形に手を伸ばそうとする

君の温かさが鼻腔まで昇ってくると同時に

香るじめじめした匂いがそれを「欲しい」と訴える


飢えた乾きは矛盾して、高まった食前酒が溢れて止まらない




雄が味わった雌のその指の腹で

雌の割れ目からあらわになった敏感な

蜂の針に這わせる

ミクロ単位で擦れる感覚がわかる

雌は恥ずかしくなるも

淫らな指を止めなかった




その針は沢山神経が集まってるにも関わらず少しお馬鹿さんのようで、君の指を僕と勘違いしてるみたいだ

僕の臀部だと思い違いながら、指先を柔らかく何度も刺そうと針先を押し付けてくる




ずっとそれを眺めていたい雄だが

お互いに高まりすぎてしまい

雌の蜂の針にキスしたり唇を擦るだけで

お互いの臀部の奥が限界になりつつ

それを楽しむために焦らす

とうとう雌は我慢できなくなって

早く欲しいと泣くにも等しいような

咽び震え上がるお願いをしながら

下の方からもまるで声帯があるのかと

錯覚するほどコーラスを奏でて

訴えかけてくる




我慢できない僕はいきなり乱暴に気持ちいい地団駄を踏みながら獣に成り下がる




「あああああああ!!!」




一瞬我に返りそうなほどの雄叫びが

雌の腹の奥から飛び出した

いっさい鋭利な鈍器をもろともせず

もっと踏み込んで欲しそうに

雌の骨盤が浮かんできて

何度も雄の臀部を雌の針が刺してくる

途中から返し針があるように

吸い付いてきて身と身が離れない

振い落されないように雌の脚が雄を求める




ごめんね、本当に君を愛しているけれど

今は君を大切にできない

僕が淫らに侵されてしまっているせいで

頭は真っ白というより、意識も思考も呼吸も、全部先っぽと前立腺の中で脈打っている

理性も本能も制御できない




いつの間にか雌の匂いがわからなくなる程

雄の香りが辺りを充満してきている

普段かかない汗、そのヌメったぬるい汗は

雌に浸たってすぐに蒸発した





何となく感じる

もう僕らは2人きりじゃない気がする

腰あたりで混ざって、1つに溶接された銀河の中に、新しい星が産まれようとしているのを感じる

君で気持ちよくなりたいと、可動域を少し上回るグラインドの鐘撞きで、限界を迎えているレールガンはこれ以上充填できそうにない






あと一、二撃、君の肉をえぐるとイく__






笑える表現だが

しかし湯船の中で

放屁したような音が

何度もする

雌の奥で居場所がなくなった

フェロモンの泡立ちと雄の香りが

思わず息を吸いたくなって

一斉に出てこようと閉じた真空の間を

激しく押出して弾けた

目に余る勢いで粘度の高い狼煙が上がる

文字通り熱い間欠泉のごとく

雌のヌタりの奥から

刺激臭のする淫らの化身が出で立ち

雄の頬をかすめた

あとから迫ってくる気持ちよさに

追いつかれて二人は何度も脈打つ

しかし依然雌は気を失っている

摩擦のせいか

はたまた火のように熱いせいなのか

少し染みる溶けた部分は

輪郭がなくなり

脈打ちつつ消えかかっていたのだが

雄が最後の力を振り絞り

少しずつその境目をあらわにする

雌の腹から押し出すような

喉仏の震えと同時に

食後のアイスクリームを

食べ終わったかのような

下品でヌタった口周りは

赤みが掛かっている

よほど激しかったようで

靱やかなはずの皮膚も

限界そうにみえる

蓋やスプーンを舐めまわすような

余韻で味を楽しむかのように

中で雄の形や味を

無意識に何度も確かめている

掴めない鰻を懸命に咥えようとするも

余分に満ちた粘液で

ぬるっと吐き出してしまった

久しぶりに息を吸えた雄の割れ目からは

まるで病の鼻をかんだときのように

ちり紙で引っ張り出せない

鼻の奥からの濃い膿のようなそれを

タレ下げている

雌の奥から見たことないような

まるで長いグミのそれは

鰻の口から食道まで

引っかかったまま引っ張り出された


ツリーに飾る小さな電球を

沢山繋ぐ電線は

いやらしく淫らなアーチを垂らしながら

依然雌の中から

雄の脈うつ勢いで引っ張り出され続けている

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