瓶詰めの溜息

壺中天

小さな詩のひとつながり


ストロベリージャムのような夕焼けの色はだんだん

ブルーベリージャムのような夕闇の色に変わってく

どちらも瓶詰めにしたらきっと甘く切ない味がする




溜息をつくとしあわせが逃げていくという

だから溜息を瓶詰めにして閉じ込めよう

私の心があなたへ届いてくれることはない

青い哀しみの結晶だけが瓶の底に積もる

あなたへの私の想いが叶うことなんてない




泣きそうな空の風景画が飾られている

雨のようにしとしとと降り注ぐ接吻が

積もる落葉のように私の体を覆ってく

雪のような肌に薄紅の花弁が散り咲く




窓辺に雪

硝子に吐息

白く曇る


暖かい部屋

銀のサモワールの音色

あなたの淹れてくれた紅茶


お茶を一口

ジャムを一口

口づけ一つ



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瓶詰めの溜息 壺中天 @kotyuuten

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