エピローグ『紡ぎ手は盗み見る』
第28話
魔法で一部始終をモニタリングしていた紡ぎ手は、彼等が一緒に帰宅する様子も追って観察していた。
「ヒック。あーークソ・・・ック」
「・・・」
――不意にしゃっくりが出ちゃって恥ずかしそうにしてるディセルは・・・割と好みかも。
「・・・何」
「べっ別に!?ほらお水!飲むと結構落ち着くから」
「・・・ありがと」
――素直にお礼言ってお水飲むの可愛い・・・。
2人の初々しさを目の当たりにし、紡ぎ手は自らを元の姿に戻した。
「やっと終わった・・・未来の為とはいえ、
紡ぎ手が持つ傘も髑髏の形をした石突きはそのままに、男性物から可愛らしいデザインに代わる。
――私というキーパーソン兼当て馬キャラのお陰で・・・『エステラ・ヒカップの物語』はこの世界と運命の輪にとって正しい方向へと回り始めた。
「ヒカップさんにとって。って言えないのがとても申し訳ないけど・・・これからも、私は私の大志のために動き続けよう」
紡ぎ手は独自の転移魔法を発動し、新たな土地へ移動する。そして、起りうる狂った未来を正すために奮闘していくのであった。
――『ヒカップ家の呪い』によって、ディセルの新たな魅力が発掘されてしまったのはまた別のお話。
エステラとヒックリな恋 椋木美都 @mitomukunoki
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