『先生』に憧れて! これが現実!
崔 梨遙(再)
1話完結:1700字
このお話も、恥ずかしくて書きたくなかったのですが、また“作家は恥を晒してなんぼ!”と思い、書くことにしました。書くと胸が痛いです! でも書きます! すっかりMになってしまった崔です。ちなみに、フィクションで書いた先生のように、“酒を飲むと変わる先生”の話ではない。
僕には小学生の時に憧れていた先生がいた。朱音先生。直接担任になってもらったことはないが、密かに憧れていた。スレンダーで、大人の女性らしい色気を放っていた。スレンダーだけど、意外に胸はそこそこある。学校のプール開放日、朱音先生が当番の時に水着姿の朱音先生のボディラインをチェックしていた。そして、僕は勿論何も出来ずに卒業した。
中学の時に、朱音先生の旦那様がお亡くなりになったと聞いた。
そして、僕は18歳になっていた。もうすぐ19歳になってしまう。なのに、僕には恋人がいなかった。今まで恋人がいたことが無い。そこで、少し前から考えていた、なかなか勇気の必要な作戦を実行することにした。
まず、卒業アルバムに載っていた朱音先生の自宅の電話番号に電話をかけた。朱音先生は僕のことをおぼえていてくれた。良かった。そこで僕は“相談したいことがある”と言って、会う約束をした。
約束の土曜日、駅で待ち合わせていたが、朱音先生が変わっていなくて安心した。僕が小学生だった頃と変わらない。相変わらず、『年上のお姉さん』という感じで、朱音先生から大人の色気を感じた。
あえて、客の少ないレストランに入った。更に、周囲に他の客がいないテーブルに座った。食事して、コーヒータイム。朱音先生にはワインをすすめたが、朱音先生は、
「こんな真っ昼間から飲まれへんよ」
と言って、飲んでくれなかった。僕も未成年なので飲めない。で、僕も朱音先生もシラフだった。僕がしたい話は酒が入っていないと恥ずかしい話だが、僕は勇気を振り絞って斬り込んだ。
「先生!」
「何?」
「相談のことなんですけど!」
緊張して、つい力んでしまう。
「うん、何?」
「先生は、僕の憧れの女性なんです!」
「え? あ、ありがとう」
「小学校を卒業しても、ずっと先生のことを想っていました(←嘘)!」
「え! そうなん?」
「僕、ずっと恋人がいません。恋人になるなら朱音先生と決めていたからです(←嘘、本当はモテなかっただけ)!」
「え! 崔君、どないしたん? そんな真剣な顔をして」
「先生、僕と付き合ってください!」
「えー!」
「僕の初めての彼女になってください」
「えー!」
「今日は告白したくて呼んだんです」
「えー! アカン! アカンよ、崔君! 崔君、まだ学生やんか」
「ほな、社会人になったら付き合ってくれるんですか?」
「アカン、それでもアカン、崔君は生徒なんやから」
「もう大人ですよ」
「アカンねん、生徒は歳をとっても生徒としか見られへんねん」
「僕と付き合った時のことを想像してください。そのまま結婚してもいいんですよ」
「想像してみた。ごめん、やっぱり無理! 絶対に無理! 一生無理やから!」
「ほな、思い出として、これから一緒にどこか行きませんか?」
「どこに行くの?」
「水族館とか、映画とか」
「デートになってしまうやんか! ごめん! 無理!」
「えー! 思い出作りもダメなんですか?」
「ダメ! そういう相談やったら協力できへんわ。ごめんやで。じゃあ、私、帰る。崔君、ごめんな、崔君のことが嫌なんじゃないんやで。崔君じゃなくても、生徒とは付き合われへんから、誤解せずに理解してや。ほな、さよなら!」
朱音先生は、疾風のように去って行った。よく考えたら、それが常識的な反応だろう。僕は残って、飲みかけのコーヒーをゆっくりと飲んだ。これが現実だ! 現実に『先生』と『生徒』の交際とか、ハッピーエンドなんかあるのか? 現実がこれだから、僕はフィクションの『先生と生徒』ネタを書くのだ。でも、『先生』というのは幾つになっても萌えてしまうものだ。今回は、まずは僕の勇気というか行動力を笑っていただきたい。そして、もし、誰も褒めてくれなかったとしても、僕は自分で自分を褒めたい。こうして1つのネタになったのだから。などと言ってる僕はアホです。今振り返っても、1番勇気が必要だった告白でした。
『先生』に憧れて! これが現実! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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