第8話 学園長の言葉
「にっしても父さんたち遅くない?全然戻ってこないじゃん」
しばらく話し込んでいると中々帰ってこないサカモトさんらにようやく里兵衛が気付く。
「あっち見てみろ」
「んえ?あっち?…あー」
里兵衛の視線の先には話が死ぬほど盛り上がっているのか笑い合いながら語らうサカモトさんと里兵衛のお父さんの姿があった。
「俺らが喋ってる間ずっと盛り上がってたよあっちも」
「親も相性良いなんて…やっぱり運命かな」
「かもな」
本当にそんな気がしてくるよここまで相性いいと。
「てか結構人来始めてるけど皆パッと見ランダム症っぽいよね…なんでだろ」
「さぁ…」
「私は結構軽めな方だけどこの中には絶対苦労した人とかいるよね…力になれたらいいな」
「そうだな」
勝手に一人称とか語尾とか変わって髪も目も親と違うくなっていじめられて…なんて辛すぎるもんなぁ…。偽善だとしても救いたいって思っちまうよ。
そんなこんなで里兵衛と雑談をしているとそろそろ入学式が始まる時間になる。
いつの間にか席も満席になりサカモトさんらも隣合って座っている。
「そろそろ始まるね真」コソコソ
「どんな入学式になるんだろうな」コソコソ
「話短いといいなぁ」コソコソ
「それな」コソコソ
俺も里兵衛と隣合って座りながらコソコソと話を続ける。
すると壇上の方に1人の男性が向かっていく。
背は高く筋肉質で恐らくこの人に体罰されたら粉々に砕け散り畑の肥料になるだろうなと言うくらいゴリゴリだ。何やら帽子を深くかぶっている。
そんなゴリ…さんが壇上にあったマイクを持って話を始める。
『こんにちは新入生の皆さん。この神立和江織部学園に入学して頂き誠にありがとうございます』
『さて、皆さんもう他の方を見られて薄々は気付いているかもしれませんがこの学園にはランダム症にかかってしまった方しか在籍出来ません』
…んえ?
かかってないんだけど俺。
『まぁだから先輩たちが居ないんですが…それは…まぁ、いいとして…』
『この中には一人称や語尾、趣味や髪色、目の色が急に変わり様々な困難に見舞われた人もいるでしょう。私もそのタイプでした。』
そう言い学園長と思わしきゴリ…さんが帽子を外す。
それによって見えた髪は緑色で、目の色は赤色だった。
『何もしていないのに周りから蔑まれ…迫害され…明日生きる気力もないほどでした』
最初は聞く気の無さそうだった人も耳を傾け学園長(推定)の話を清聴する。
『職場を探すのにも苦労し…ようやく働けたところは凄くブラックで。自殺を試みそうにもなりました』
『皆さんの中にも…試みた人は居るのではないでしょうか』
『そんな私を見かねた母がある所に連れていってくれたんです』
『そこはランダム症にかかってしまった人が経営するバーでした。その人に色んな話を聞いてもらって…少しだけ、救われたんです』
『同じ痛みを共有出来る理解者のおかげで私は今も生きることが出来ています』
『そこから私はこう考えるようになりました。ランダム症にかかってしまった人たちを同じ学園に集めたら差別や迫害などないまま学校生活を楽しんでもらえるのではないかと』
『私は未来ある皆さんには学校生活をしっかりと楽しんで欲しいと思っています。確かにめんどくさいこともあるでしょう。宿題やテストなどももちろんあります。しかしそれよりも多くのイベントなども用意しております。同じような悩みを持ち、同じように苦しんだ人たちとなら、きっと皆さん楽しめるだろうと思っています』
『過去の経験から人間不信となり、人と仲良くすることに拒否感を抱いている人もいるかもしれませんがここには同じような人が沢山居ます。1歩、ほんの1歩でも踏み出してみてください。それだけで未来は明るくなるでしょう』
『少し話すぎましたね…すみません。では私の話はここまでとさせていただきます。あっ名前言ってませんでしたね。学園長の
そう言って壇上から去っていく学園長へ万雷の拍手が送られる。周りをチラリと見てみると泣いてる人や決意を込めた目をしている人がいるし親御さんだと思わしき人たちはもれなく泣いている。なんでサカモトさんも泣いてんだろう。
そうやって茶化しながらもしっかり俺も学園長の言葉が突き刺さっていたため涙ボロボロである。
誰かのために行動出来る人ってかっこいいよ本当に。
ランダム症で苦労してる人たちの力になりたいとより一層強く思った。
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学園長の言葉これで良かったのか1時間悩みました。文章ぐちゃぐちゃになってたら教えてください。
モチベに繋がるので感想や星や♥よろしくお願いします。
子供を庇って死んだら全設定がランダムで決められた異世界の学園に入学することになった 中田の刀な鷹 @Tanaka_kanata_takana
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