第2話 ・屈辱 (途中)

自分の人生を自分で選ばなかった。

その延長線上に今がある。

恥ずべき汚点だ。



自分の将来を決断する事から逃げた。

学費の高い私立医大に進んだ。

それも指定校推薦という、合法的裏口入学で。

後を継ぐという言い訳で、親の経済力に甘えた。


同窓会に参加するたびに、それぞれの進路を自ら切り開いていく同級生の活躍に、後ろめたい思いに、さい悩まされた。

何の覚悟も決断も出来なかった、無責任な自分。


分不相応な立場に、必死に付いてゆくしかなかった。

講義と課題、実習に追われた大学生活。

逃げた人生に、追い詰められるように。



五回生の頃、友人の紹介で出会ったのが貴子だ。

四歳年上の彼女は、しがない学生には大人に見えた。






娘が産まれた時。

娘を抱いて、無期懲役の判決を下す様な、勝ち誇った妻の眼差しに、言葉を失った。

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尊厳の獣 Eternal-Heart @Eternal-Heart

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