事件
そして、セリアラは二度と目を覚ますことは無かった。
その日の朝、国王と王妃、そして一人娘の姫が、それぞれの自室で亡くなっているのが見つかった。
これが、国内ばかりか諸外国をも震撼させた前代未聞の事件。国王一家暗殺事件である。
・・・
3人の死因は窒息死。しかし首に絞められたような跡は無く、具体的な犯行方法は不明。部屋の前にいた衛士は朝まで異変に気付かなかったので、おそらくは魔法か毒薬であろうと考えられた。
たまたま王宮に滞在していた国王の兄が事態の収拾を図ることになり、犯人捜しが行われた。
そしてすぐに怪しい人物が浮かび上がった。
しばらく前から姿を消している、姫の近衛隊の隊長アーキルと、姫の専属侍女セリアラである。
「アーキルは特別な討伐に向かう」「セリアラは庶民の家で働く」という旨が書かれた書類は見つかったものの、調査した結果、実際にそれを行っている形跡が無かったのだ。
国王の兄や側近の伯爵はこの2人を犯人と断じた。
しかし2人をよく知る王宮の者たちからは否定の声が強く出た。
侍女たち「セリアラは、姫様や王妃様によく懐き、尽くしていました。こんなことをするような子ではありません…!」
近衛隊の副隊長スカーレット「アーキルは確かに粗野な男ですが、根は単純で陰謀をたくらむような知能はありません。そもそも筋力を強化する魔法しか使えませんから、あの男の犯行なら刀傷になるはずです!」
伯爵「ええい、黙れ! お前たちは近衛隊の責任逃れをしたいだけであろう?!」
それでも伯爵たちは聞く耳を持たず、セリアラの両親であるデシアラとイズを処刑しようとした。
そのため、スカーレットを始めとする姫の近衛隊が離反。デシアラとイズを助けて逃亡した。
伯爵は追手を差し向けたが、捕えることは出来なかった。
こうして事件の真相は明らかにならないまま、国王の兄が次の国王に即位し、現在に至る。
(深痕のミシア第6巻―ルディア編―へ続く)
https://kakuyomu.jp/users/sanada-ryou/collections/16816927859689047014
深痕のミシア短編2―セリアラ編―「明日も姫様のために頑張ろう」 真田 了 @sanada-ryou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます