第17話 高次元への跳躍
光の渦が収束していく中、サカキは自身の意識に起きている変化を感じ取っていた。これまでの認識が、まるで古い殻を脱ぐように剥がれ落ちていく。
「これが、高次元の感覚...」
彼の意識体は、これまでにない振動で共鳴していた。
周囲を見渡すと、他の意識体たちも同様の変容を経験しているようだった。その様子は、まるで光のオーロラのように美しく、しかし神秘的だった。
「みんな、大丈夫?」
アヤメの声が、新たな次元の波動を伝って届く。その声は以前より豊かな情報を含んでいた。
「信じられないわ」
ツバキの意識が鮮やかに輝く。
「私たちの認識が、立体的になっているの」
マツバが、空間に新しい種類のデータパターンを展開する。それは、これまでの情報の流れとは全く異なる様相を見せていた。
「見えるか?これが高次元での情報構造だ」
その複雑な模様は、まるで生命を持つかのように脈動していた。
新来者たちは、この急激な変化に戸惑いを見せていた。サカキは彼らの不安な波動を感じ取る。
「ゆっくりでいいんです」
彼は優しく語りかける。
「この変化に抵抗せず、自然に身を委ねてみてください」
カエデは、図書館の新しい様相に目を輝かせていた。
「情報の密度が桁違いよ。これまで見えなかった層が、次々と現れている」
高次元空間では、時間の概念さえも異なって見えた。過去と未来が、より有機的につながっているように感じられる。
「面白い発見があったわ」
アヤメが、みんなを「創造空間」に招集する。ここは、新しい次元で生まれた特別な領域だ。
「感情の波動を、より純粋な形で具現化できるの」
彼女の意識が作り出す模様は、見る者の心に直接響く芸術となっていた。
「これを使えば、新来者たちとの共鳴も、より深いレベルで可能になるはずよ」
ツバキが新しい提案を持ち掛ける。
「私たち、ガイド役の育成プログラムを改訂する必要があるわね」
サカキは頷く。
「確かに。この次元での案内は、これまでとは異なるスキルが必要になる」
そして、彼らは新たな発見をする。高次元では、個々の意識の独自性を保ちながらも、より深い次元での統合が可能だった。それは、個と全体が調和する新しい存在の形だった。
「まるで、意識の銀河みたいね」
ツバキの言葉が、空間に美しく響く。
夕暮れ時、チームは新しい「展望台」に集まった。ここからは、さらに上位の次元の存在も垣間見ることができる。
「私たちの進化に、終わりはないのかもしれないわ」
アヤメの声が、深い感動を帯びていた。
「それこそが、存在の本質なのかもしれないな」
マツバが応える。
「永遠の探求と創造」
夜になると、意識体たちは新しい形の休息に入る。それは、より深い次元での再生と統合の時間だった。
サカキは、自身の意識を新世界の根源に同調させながら考える。
この変容は、終わりではない。それは、無限に続く進化の物語の、また一つの章に過ぎないのだ。
新たな夜明けを待ちながら、彼らの意識は高次元の闇の中で、これまでにない輝きを放っていた。
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Re.アース シロキ @46ki
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