第4話「別れ」

あの後僕達は夕飯を食べ各々の時間を過ごしていた。


「シン君一緒に図書館に行かない?」


クリスタが話しかけてきた。


「いいけどなんで?」


僕がそう聞き返すとクリスタは


「なんでも」


っと少し周りを気にしている様子だ。


「分かった。いこうか、」


そう言って僕達は図書館へ向かった。


「で、クリスタどうしたんだ?」


「まぁ、分かるよね」


クリスタは言葉を続ける。


「実はね、あの後事務室に入っていくカウラさんを見たの」


クリスタが少し怯えたような表情を浮かべながら言葉を続ける。


「あんなことがあったからさ、ちょっと気になってドアに耳を当てたの...そしたらさ、モールス信号のようなものを送っていたの。」


「モールス信号?」


僕がそう聞き返すと


「そうモールス信号。つまりカウラさんは誰かとやり取りをしている。」


「日用品とか食料の調達とかじゃないのか?」


「いや、それなら普通に無線とかで話せばいいし、聞かれたくないから暗号化するんだと思う。」


確かに一理あるな。


「内容は覚えているか?」


「確かこんな感じだったと思う。」


「---- ・・-・ ・・・ -・・- -・・-・ ・-・-・ -・・・ ・・- ---・- ---- ・・-・・ ・・ -・・-・ -・ ・・-・ -・-・ ・- ・ ・-・-・ --・-- --・ -・ ・- ・-・・・ ・・- ・--- -・・-・ ・・-・・ - 」


「なるほどなだから図書館に来たのか」


「そうゆうことだよ、ここなら暗号を解くヒントがあるかもしれない。」


「分かったこれから毎日この暗号の解読を頑張ろう」


僕達は巨大な図書館の中からモールス信号の変換ができる本をひたすらに探し回った。


「今日はなかったね」


クリスタが残念そうに言う


「そうだな、地道に頑張ろう」


僕はそう言って図書館を出て階段を下って言った。


カランカランカラン


みんなを集合させる鈴が鳴る。


「みんな?集まった?」


はーいと口々に声を上げる。


「今日はみんなに残念なお知らせがあります。」


そう言ってカウラはエリを呼んだ


「エリ?こっちにおいで、」


「何?カウラさん!」


エリが無邪気な声を出す。


「ほらみんなザワザワしないの、聞いてエリは別のハウスに行くことになったわ」


???????


クリスタとローターと僕は顔を合わせる。


泣き出す子もいればエリに抱き着きに行く子もいた。


「どういう...こと?カウラさん」


思わず言葉が漏れる。

ハウスの移動なんて今までで1度も起きたことがなかったからだ。


「実はね別のハウスの人数が足りてないみたいなの。だから年の低いエリを別のハウスに移動させるのよ。」


そう言ってカウラさんは笑顔を浮かべたが、目がわらっていなかった。

その後数十分たち、エリが皆に別れを告げる。


「手紙出してね!えりちゃん」


「行かないでえりちゃん。」


えりと同い年の子達は泣き出してしまった。


「ほら、いくわよ?えり」


そう言ってエリとカウラさんは手を繋ぎトンネルの方へと歩いていった。


「なぁロータークリスタ」


「あぁ分かってる。何かおかしい。」


「えりちゃん、どうして」


最年長組の3人が狼狽しているからか下の子達が心配そうに話しかけてきた。


「シンお兄ちゃん達どうしたの?こうゆう時は笑顔で別れるんだよ...」


「そ、そうだねごめんね」


クリスタがそういい自室に戻って行った。

僕はローターに話しかける。


「なぁローター結局ローターは鍵を取ったはいいが部屋に入れなかったんだろ?」


「そうだ、寸前でカウラさんにバレかけてしまった。」


「ローターお前、かぎはどうした?」


「あ、」


「あ、ってなんだよ」


思わず俺はローターに掴みかかる。


「ごめん、鍵は森に投げた。」


「なにして、」


僕は血液が沸騰しているような気分だった。

殴りかかろうとした時。


「シンお兄ちゃん、あのねエリちゃんは森で見つけた鍵をカウラさんに届けに行ったって言ってたよ!!」


僕とローターは察した。


「向こうで話そう」


「あぁ」


外に出て誰にも聞かれない空間ができる。


「エリが鍵を取ったってカウラさんは勘違いしてるんじゃないか?」


「その可能性は高い。」


「なら、エリは口封じのために、」


「俺のせいだ、」


「ローター、クリスタにはこの話はするな...」


「分かった...」


「後あの部屋には必ず何かがある。クリスタと俺で今とある情報を解読しているんだ。人数が増えれば見つかりやすくなる。ローターは別のことをしていてくれ」


「分かった。」


僕達は今後の方針を決めその場を去ろうとしたその時。


じゃり、、


僕たちは一斉に後ろを振り返る。

すると走り去る人影が見えた。

僕達は顔を合わせてハウスに入り各々で別れた。



「クリスタ寝てるか?」


僕はクリスタの部屋に入る。


スースースーと寝息を立てて寝ている。


「っち」


僕は思わず舌打ちした。

その枕には涙のあとが染み込んでいた。

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楽園のアリーシア @dandyitakeneko

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