気がついたら最強先輩の最強の式神になっていた件について。
藤泉都理
気がついたら最強先輩の最強の式神になっていた件について。
気がついたら最強先輩の最強の式神になっていた件について。
先輩は現代に生きる最強陰陽師だ。
現代でも次から次へと誕生する最強の呪いを祓いまくっているらしい。
先輩が物心ついた頃に、調伏した最強の式神である鬼を使って。
最強だから、先輩は小さい頃に、最強の二本角の赤鬼を調伏できたらしい。
もう、怖いもの知らず、負けなし、連戦連勝、人生楽勝じゃん。だったらしい。
時々昼だけ解放されている屋上でばったり会った時、一緒にだべっていると、先輩はよく言っていたのだ。
最強過ぎてつまらないと、ひどく涼しい顔で。
だから。だろうか。
神様が先輩の嘆きを憐れんで、最強じゃなくしてしまったのだろうか。
いや、だからって。
「何でおめえが俺の式神になるわけ?」
「いや~~~ほんと。何ででしょう?」
流石は最強先輩。
見た目は最強の二本角の赤鬼でも、中身は俺だと即刻見抜いたのであった。
最強の式神じゃなくて、最弱の式神になってしまったのだと即刻見抜いたのだ。
ふぅ~~~流石先輩頼りになる~~~。
「………呪い。じゃねえだろうけどよお。何だほんと。俺が分からない事がこの世に存在するなんてな。ッハ」
「いや~~~。早く解決してもらわないと困るんですけど。俺、呪いなんて、分からないし」
「分かってる。だが、おめえに呪いを祓えなんて無茶は言うからな」
「は?」
「中身が何だろうが、ガワは最強の式神だ。何とかしろ。サポートはしてやる」
「いや。いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや「どれだけその単語を言うつもりだ、おめえ。さっさと腹を括れ」
「むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむり「無理じゃねえ。原因が分かって元の身体に戻るまでおめえは最強の式神だ」
「いやいやいやいやいや先輩最強なんですよね最強だったら式神なんて必要ないですよね何かほら、ほにゃらら破って叫びながら、いや、最強先輩だったらクールに呟くのかなまあよく分かんねえですけど、破壊光線を出して呪いを消滅させる事ができるんでしょ?」
「俺は式神使いとして最強なんだ。式神が居ないと最強じゃねえ」
「え?初耳なんですけど?」
「へえ。よかったな」
「いえ。何にもよくないですけど。え?え!?じゃあ、俺。ッハ!?俺の身体。俺の身体はどうなってんですか!?もしかして、この最強の式神の中身が俺の身体に入って好き勝手に暴れて俺の身体ごと他の陰陽師に消滅させられたりするんじゃないですか最強先輩早く俺の身体を保護してくださいよ!?」
「安心しろ。おめえの身体ごと、最強の式神に入っているから」
「え?あ。じゃあ。一安心。俺は行方不明扱いで、俺の両親を悲しませるだけ………最強先輩早く俺の両親に説明してくださいとりあえず俺は無事で最強先輩の保護下に置かれているって」
「安心しろ。ジイヤがすでに済ませている」
「流石は最強先輩と最強先輩をサポートするジイヤさん!ありがとうございます!」
優秀なサポート役だと名前は聞いた事はあるけれど、姿を一切見せた事はなくどこかに控えているだろうジイヤさんに向かって俺は頭を下げた処で、依頼が入ったようだ。
先輩にパンツを掴まれた俺はそのまま引きずられてしまった。
パンツがこの最強の式神の弱点なんだろうか。
脱力していた身体からさらに力が抜ける。最強先輩に逆らえない。
いや。ていうか。
「最強先輩。俺、頑張りますから。お願い。一ついいですか?」
「あ?早く言え」
「上着下さい。上半身裸だと心もとないっす」
「………だとよ。ジイヤ」
先輩が言うや否や、俺の真っ裸だった筋肉ムキムキ上半身に上着がかけられた。
え?仕事ハヤっ?っつーか俺、必要なくね?ジイヤさんが居ればいいんじゃね?
「バカタレ。ジイヤはただの超人だ」
「え?ただの超人って何ですか?超人の時点でただじゃないんですけど?」
「いいからさっさと来い。頑張るって言っただろうが」
「え?え?え?」
結論から言おう。
目を凝らせば呪いが見えるようになったし、匂いまで嗅げるようになった俺はしかし、呪いのあまりのグロテスクな姿に、鼻を抓まんでも突き抜けては残り続ける異臭に気絶してしまい、先輩に恥をかかせる結果になってしまった。
これ以上、先輩に恥をかかせるわけにはいかない。
闘志に燃えた俺は脚力を磨く事に心血を注いだ。
逃げよう。とにかく逃げよう。俺の身体に戻るまで先輩を抱えて逃げまくろう。
「いや逃げんなや戦えや」
「無理です!!!」
(2024.11.3)
気がついたら最強先輩の最強の式神になっていた件について。 藤泉都理 @fujitori
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