第10話 この島にいる理由
第十章
というわけで今日は早く起きて早速やるべきことを静夏お姉ちゃんと一緒にメモ帳を使って予定を書いていた。そして吉良さんからあるものを見せびらかしてきた。
「どうよこのバイクはよ!自腹で買ったんだぜ?これを乗って遠いところまで運んでやるよ」
「いつの間に...いつ買って来たのー?」
と僕が吉良さんに質問すると吉良さんはとにかく自慢しているような顔をしながら僕たちの質問に答えた。
「こいつはお前さんが寝ている間にこっそりと家に出てようやくこのバイクに買えるという喜びで軽く事故に遭いそうになったんだぜ!?」
もはや顔がうるさく思えてきてまるで小説家の顔をしていないような気がしてきた。
「ところでもう一人の僕について何か情報はあるのー?」
と何気なく言うと吉良さんはさっきと違って困った顔をしてなんで言えばいいのか分からないっていう表情をしている。
「えーと...そのことについてなんだけど...」
何か言いたいようなそうじゃないような感じで僕たちに話をしようとしている。
「何か悪い情報でもあるの?」
僕がこう言うと
「まぁ間違っていないと言えば間違っていないけど言うならちょっと悪い情報だな」
「と言うと...?」
「というのもどうやら霧の力を使っているせいでもはや発見することが難しいのではって言われていてな もしそうなら目の前に突然現れるのかもしれないって思っていてな」
「それってちょっとっていうよりだいぶ悪い情報なのでは?」
「でもまぁ今すぐにここに来るとは考えづらいししばらくはいいんじゃない?ところでいつまで俺の家にいるつもりなんだ?昨日から小説が全然かけないんだが?」
「そういえばなんかすっかり馴染んているけど...というより帰るべき場所ってないんじゃないっけ?もし邪魔したなら静夏お姉ちゃんと一回相談するから考えさせて」
「あーそういう感じだったかー...どうしようかなぁ」
「...大丈夫 ここは任せてなのです」
どこからか声が聞こえて振り返ってみるとそこに居たのは普通に姿忌の姿だ。今までどこに行っていたんだ?と質問をしようと思った瞬間、姿忌さんが先に僕に対して奇妙なことを言ってきた。
「実はこの幕を使ってたくさん並行世界を行って来たのです するとその小町:黒煙の姿が全くなくどうやらこの世界だけ存在しているのです」
「なんかさらっと言っているけど...その幕を使って並行世界に行けるの?便利過ぎない?」
「つまり小町:黒煙はこの世界にしか存在しない...ということなのです ちなみに他の世界は小町の偽物の代わりに紅い飴がさらに降り続いていてしばらく止まる気配がないのです」
「それでその世界はどうなるの?」
「それは分からないのです でも少なくてもわかっている限りでは別の世界には小町の偽物がいないということになるのです 分かりやすく言うとゲームのバグみたいなものなのです」
「それは大体分かったんだけど...その前に僕たちの住むところってありますかねぇ?さっき吉良さんに帰るべき場所はあるのかって言われましたし」
「...それならちょうどいい場所があるのです」
姿忌さんがそう言って吉良さんに会釈をしながら僕たちは吉良邸を出た。
「ついてくるのです」
と言いながら僕たちは素直に姿忌さんに付いて行った。しばらく歩いていると紅葉がたくさんある山に連れてかれた。意外にも吉良邸からちょっとだけだけど近かったから疲れはそんなになかった。
「こんな場所に家なんであるのかな?」
と僕が独り言のように姿忌さんに言うと姿忌さんが違う違うそこじゃないからついてきてという感じで言っていたので僕達はさらに姿忌さんに付いて行った。そしてもうしばらく歩いていくと滝が見えてきた。すると姿忌さんの足が止まり目の前にあったのはよくある和風の家だった。そして部屋の中に入ってみるとこたつなどごく普通のもので僕は姿忌さんに対し何をしたいのかを聞くと姿忌さんはこんな風に答えて僕は不思議な気持ちになった。
「今からあなた達はこの家に住んで欲しいのです あの霧の情報を掴むまではここで大人しくするのです」
どうやら僕たちはここで暮らすことになったそうだ。あのもう一人の僕を倒すためにもしばらくはじっとしていた方がよさそうだ。それに元の場所に帰るつもりは全くない。僕たちは多分ここに来る事を神が決めつけられたようなそんな気がする。もう一人の僕を生み出したのも何か意味があるのかもしれない。そんなことを考えながら僕はこたつの中で眠りについた...
秋桜 @Kurenai011
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