第9話  第八章 姿忌

第九章

「.........というわけなのだけど逃げられちゃって 相手が無口だから情報も何もつかめなかったし」

「そうなのですか...残念なのです」

「でも何だろう...あのもう一人の僕から感じるヤンデレ的な何かが凄まじくて...それに身体を霧状にしてどこかに消えたから場所が特定できないし...」

「とりあえず脅威は去ったからまぁいいんじゃないか?それともまだいるっていうのか?」

「まぁ一応僕だから分かるよ まだどこかに潜んでいるって感じがして」

と僕が不吉なことを言うと孫師海がもし見つけたら俺がそいつらを吹き飛ばしてやるよと言いながら年飛鳥と共にナカラヴァさんが用意したバイクとは別のバイクに乗ってこの場を後にした。残された僕たちはとりあえずこの出来事を記憶しておいて一旦吉良邸に行ってから今までのことを静夏お姉ちゃんに全部教えることにした。

「.........というわけでもう一人の僕が逃げられたからしばらくここから離れられなくなっちゃって...」

僕は少し恐怖で震えそうになった時、静夏お姉ちゃんが僕に抱きつきながらそのまま会話をした。

「大丈夫 私がずっと付いているから何も心配はないよ ずっとね...だから安心していいよ」

とかつて僕を助けてくれた恩人の時と同じ表情をしていたおかげなのか僕はほんのちょっぴりだけ涙を出してしまった。

「もう...どうして昔のことを思い出させるのかなぁ?僕がその話をするとつい静夏お姉ちゃんがいなかったことを想像しちゃうよ...」

静夏お姉ちゃんが僕を抱っこしながら笑顔になって取り敢えず今日の出来事は明日考える事にして僕たちはこのまま食事をして眠りについた。

............

「もうお昼だよ~」

という声で目が覚めた。静夏お姉ちゃんの言う通り気がつけば昼の12時過ぎになっていた。

「あれ?もうこんな時間?たくさん寝ちゃったなー 昨日結構体力使ったからかな?」

と言いながら一階に行くと吉良さん以外にもたくさんの人が座っていた。

「何か深刻な事でもあったの?それとももう一人の僕の場所が分かったとか?」

と僕が静夏お姉ちゃんに聞くと帰ってきた答えは意外な事ではなく至って普通な事が返ってきた。

「ちょうど11時半に集まってきたばっかりだから今からそれを考えるって言っていたよ?」

「じゃあ最初に昼ごはんでも食べたいよ」

と僕が静夏お姉ちゃんに言うと

「分かった 吉良さんと一緒に作るから少し待っていてね?」

静夏お姉ちゃんは吉良さんと一緒に台所に行った。そしてほかの人が待っているところに僕が混ざり僕はいろいろな質問をした。

「今日は姿忌さんの姿はないんだね 何がもう一人の僕に対して分かったことがあるの?ナカラヴァさん」

「そのことなんだけど正体が分かったって姿忌が言っていたのさ」

「それって本当?でも今この場にいないのは何故なの?」

「まだ不明なところが多くて微妙だから詳しくは分からないけどとにかく正体が知れたらしいのさ」

もう一人の僕の正体が知れたのはいいが、まだ不明なところが多いらしくこの場にいないということをナカラヴァさんから説明が入った。

「えーとつまりまだ調査をしているっていうことなんだよね?」

そう言うとナカラヴァさんが頷いた。姿忌さんが今この場にいないことが何よりの証拠らしい。その後色々な会話をし気が付いた時には静夏お姉ちゃんと吉良さんが料理を運んできてまるで宴会みたいに騒ぎながら昼ご飯を食べ気が付いた時には15時過ぎに食べ終えていた。

「でここからが本題なんだけど」

と飛鳥がいつもとは違う真剣な表情をしながら僕たちに語ろうとしていた。

「あーしも独自に調査をしていたんだけどザウっていう科学者がいるじゃん?あの人と協力したどころ、あの鏡自体はなんの変哲もない鏡で本質は別の何かでは?ってザウと言っていることを伝えに来たけど それに姿忌さんはもっと深いところを調べていると思うからあーしが語れるところはここまでしかないんだけど...」

「つまり鏡はただのギミックの一つっていうことなのか...でもまだ正体が何なのか分からないのならまだ不安なことがたくさんあるなぁ...今も行方が分かっていないし」

孫師海がぼろっとあることを小声でしゃべった。

「と言うかあれ俺の存在は?一応俺も協力したんだけどな!?」

すると飛鳥が孫師海に対しこういった。

「いやあんたはあーしがいない所に行ってるから遊んでいたんじゃないの?もしかして違う?」

「まぁ俺は娘の存在を知ってこの姿だけど今でも探していたから遊んでいると思ったんだろうけど実は言おうとしていたんだけど中々言えるタイミングがなくてな」

「ほんとーに見つけたの?あーしのいない所で?」

僕もとても気になる情報をまさか孫師海から聞かされるとは思わなかった。僕が聞こうとする前に先に飛鳥がそのことについてしゃべった。そして孫師海が言ったことは思った以上に別ベクトルで凄い話をされた。

「いや最初に娘らしきもの人が見つかって...」

「...え?もう一人の僕の正体じゃないの?」

「早とちりするなよ 話はまだ始まったばっかりだからよ んで話を戻すとその娘らしき人を追いかけていたんだ それから...」

「ごめん話の途中だけどちょっと鳥に餌を与えるのを忘れていたから少し席を離れるね」

「あ...話の途中なのになぁ まぁ関係なく話の続きをするけどよぉ その追って来た途中で俺はあるものを見たんだよ それは...」

「ストップストップストォーップ!あーし達に話しても意味ないでしょ?ただ話したいだけなんじゃないの?それって」

「あ...あぁ悪い 俺は一度話すと止まらないからよぉ...でも何で今になって鳥に餌を?」

「あーしには分かるよ 今餌をやるってことはこのまま話していたら何か厄災でも降りていたかもしれないからかな? もちろん確信は無いけどね」

「まぁ別のタイミングで話すからいいけどな それはそうとなんかやけに鳥に好かれていない?」

「私にも分からないけど鳥にとっては多分不思議な魅力を感じるのじゃないかな?...あ 帰ってきたよ」

「...なんかたくさん鳥連れてきていない?あーし僧だけどものすごい鳥に好かれているね君」

「実は昔から鳥に好かれやすいタイプみたいで僕もつい鳥に餌を与えてしまうんです それで話の続きなんだけど確か娘とか言っていたような...?」

「あーそうだなーつい話が熱中してお前がいないのに全部話しようとしたしなぁ じゃあ続きを...その前に一つ思うことを言っていいか?」

「…?何を?」

「いや些細なことを言いたいだけだ それが終わったら真面目に話すから」

「本当につまらない事を言ったらあーしが後でお仕置きするからね?いい?」

「...大体苗字が明って入っている人は正体を隠しているラスボス的存在だよな?明智光秀とか」

「...?......!?」

まさか本当に些細なことを話すとは思わなかった。辺りがよくわからない空気に包まれ何とも言えない感じになっている。それを見た飛鳥が何とも言えない顔をしながら冷たい目線をしてあることを言った。

「確かに...言われてみればそうかもしれない...でも聞きたいのはそれじゃないから後でお仕置きの時間を設けるから待っていてね!」

孫師海の表情を見ると嫌がっているのかそれとも喜んでいるのか分からないけどとりあえずお仕置きをされるみたいだ。ふと時計を見たらもう13時半になっている。すると孫師海からある情報を僕たちに話した。

「今から真面目なことを言うと俺がこの目で見たものは...」

「見たものは何?」

「黒い霧がうごめいていたんだ」

「?...どんな風にうごめいていたの?」

「こう黒い霧が徐々に中心の方に動いていて気が付いた時には人になっていたんだ でもまだお前の姿にはなっていなかったぜ まだまだ成長途中って感じだったな」

「それでその霧はどこに行ったんだ?」

「えーと...なんか気が付いた時には霧が消えていなくなっちまったんだぜ」

「なんかやけにざっくりとした説明だけど本当の話?」

「あぁ 結局娘には会えなかったがとても珍しいものが見れて逆に良かったと思っていて 本当に大した情報じゃない気はするけど一応話しておいた」

「姿忌さんには出会ってないの?」

「そもそもあの場所にはいなかったな」

「大体分かったよ とりあえずやるべきことは...」

「やるべきこと?」

「頭を整理して明日に備えること!だから今日は早く寝ることにしよう!もちろん僕は晩御飯ちゃんと食べるけど」

と言うわけでこの日は晩御飯を食べそのまま寝た。明日に備えて...

「あーそういえば俺あれ言うの忘れていたな...まぁ明日でいいか じゃあまた明日な」

そういいながらナカラヴァ達は吉良邸を出てそのまま帰った。これから起こることに僕たちに後悔はない。そう思いながら眠りに着いた。

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