第8話 小説家
秋桜 メイジプレリュード episode⑧ 小説家
第八章
朝。鳥の鳴き声と共に夢から目覚めて下の階に降りた。するとそこには静夏お姉ちゃんと吉良さんがすでにテーブルで食事を済ませていた。
「なぁ...このお姉ちゃんのご飯...滅茶苦茶旨いなぁ!?疲れた体に染み渡るわぁ...」
「料理のことなら私に任せてよ!小町ちゃんの分もちゃんとあるから一緒に食べよ!」
僕は分かったと言いながら朝の支度をしてからご飯を食べた。そして食べ終えて一休みしたところに吉良さんが僕たちに対しじゃあ早速行こうと急がせていた。だから僕は支度を終え、館に行く準備を整えていたところ静夏お姉ちゃんがまだ化粧していないからもう少しだけ待っててって言われたからどうしようかと思うと吉良さんがこんな風に言った。
「よく考えたらそのお姉ちゃんと一緒に行く必要はないんじゃないのか?」
「た...確かに...私この家で待機した方が安全かも...私も何か役に立てればッて思ってて でも小町ちゃん一人で行くのは危なそうだよ?」
と静夏お姉ちゃんが心配そうにすると吉良さんが
「それはやってみないと分からないからその判断は君たちにゆだねることにしよう 俺はこの家にいた方が安全だと思っただけだからな」
「じゃあ私は一回この家に残ることにするよ 私が館に行っても前みたいに大変なことになりそうだから待機するよ」
窓をちらっと覗くとバイクにまたがっているナカラヴァさんの姿が見えた。ナカラヴァさんが暇そうにしていたので僕たちは急いで階段を降り、外で待っているナカラヴァの元に行きながら吉良さんが僕に質問された。
「そういえばずっと疑問と思っていたんだけど君とお姉さんの関係はどんな感じなんだ?答えられるところでいいからさぁ」
吉良さんが興味津々な表情をしながら僕に質問をするから僕はこう答えた。
「僕とお姉さんの関係は僕同士の決着が終わってから言うからちょっと待ってて欲しい」
すると吉良さんが何とも言えない表情をしながら玄関を開けていた。そして外で待っているナカラヴァさんが待ちくたびれたのが凄い恰好でだらけている。そして僕たちに気が付いたのが急にキリっとした表情をしながらさぁ乗って乗ってと言いながらエンジンをふかしていた。
「ところでさっきから気になっていたんだけど自分が来た時から疑問に思っていたんだけど上空で飛んでいるあの鳥は一体...?」
「あぁその鳥はなぜか昨日からずっとついてきたからどうしようかと思ってとりあえず外に置いておいたからだよ ほら僕鳥好きだからなのか知らないけど凄い鳥に好かれるからかな?昨日こっそり一緒に遊んだし なんか愛着がわいたから一緒に連れてってもいい?」
と僕が言うと二人は害は無いしまぁいいかなという表情をしていたので僕はこれを了解したと読み取って鳥と一緒に行くことにした。僕は鳥をこっちに呼び出し、僕の肩に乗せながらナカラヴァさんのバイクに乗り吉良の家から離れた。しばらく乗っているとふとあることを思い出した。
「そういえばヒルダって人は今どうしているの?」
するとナカラヴァさんがその質問に答えた。
「あぁその人は今野宿しているのさ きーらが調査した時に一旦館から出てもらった筈さ ちなみに彼女らは意外にも野宿にはまりそうらしい?のさ」
「個人的に僕はあの人たちは悪い人じゃないと思ったからもしかしたら仲間関係になれるのかな~って思っただけだよ もし野宿している場所を知れたら今度は一緒にお茶会でもしてみたいなぁ~」
と色々な会話をして盛り上がっているところにあの館の場所までたどりついた。僕たちはその館の中に入ろうとした瞬間、僕が知っている声が聞こえた。昨日この館と戦ったことのある人たちが僕の後ろにいる。更にその後ろに姿忌さんと最初に出会った見た目が凄い僧と孫悟空みたいな名前の人もいた。
「えーと名前は確か孫師海と年飛鳥さん...だったような?」
「うわぁ!ちゃんとあ―しのこと覚えてくれたんだね!普通に嬉しい」
「い...意外と俺のことも覚えてくれたじゃねぇか!?驚いたぞ」
まるで50年前に再び出会った親友のように会話がちょっとだけ進んだナカ、姿忌さんが会話を割り込んできて館の話を皆に伝えた。
「今から小町一人でこの館に行ってもらうのです もし何か異常なことがあったらこの幕を使ってすぐに行けるので大丈夫なのです それにみんなを呼び出したのは黒くなった小町の正体が知りたいからっていう理由なのです」
「ほんとうに僕一人で行くの?大丈夫なの?」
と僕が不安そうにすると姿忌さんが僕に対してこう語った。
「下手にみんなで動くともしかしたらのことがあるので万が一のことを考え、あなた一人で行った方が効率的と思ったからなのです それでも何かあったらその弓で私のところに連絡が行くのできっと大丈夫なのです」
正直不安な気持ちには変わりないけどそれでもなぜ僕と同じ姿をしているのか、正体は一体何だということを知りたいから僕はこの大きい扉を開け、冷えた空気が肌に纏わりついて少しだけ寒気を感じた。まずは四階に行き、昨日戦った場所を確認した。すでに鏡は無くなっていたようで本当にただの静かな部屋になっている。とりあえず色々探していたけど全く何も僕と同じ姿になる条件のものがない。あれは本当に鏡の中から出てきたのか?それとも...と色々考えていたら突然鋭い気配がし、僕の中の危険信号がローゼルのように深紅に光っているぐらいな緊張感が僕の中を駆け回り今にも気絶しそうな空気の中で僕は気をうしなわないように心の中で意味のないことを考え落ち着こうとした。
(28...クワガタムシ...スマートフォン...砂塵...守護神...メイデン...厄災...)
意味のないことを考えて呼吸を整え少しだけ落ち着けた。だけどこの状況は正直まずいような気がして弓を取り出した威嚇をしながら集中力を高めた。なるべく牽制するように僕は力を溜めてそのままの体制でハシビロコウの様にじっと動かずに息を殺した。しばらくの間静寂な時間が続き、まるで死人みたいな極限の緊張状態になり空気の流れる音だけが聞こえる。流石僕だ、考えていることは大体同じなようだ。このまま時間が止まったように時間が流れ、相手も自分も攻撃せずどうやって動けばいいかAIが予想してもAIの音声が全く聞こえずただ静かな世界の中、相手が突然動き出し、僕はすかさず音のする方向に向けて弓を発射した...けどなぜか手ごたえが感じなかった。確かに撃ったはずなのに...と思いながら周りを見渡そうとした瞬間、突然後ろから口を手で抑えられた。あまりに突然なことだから目線を少し横にし、服装を見るとそこにいたのは僕に似た相手だった。相手にどうやって一瞬で後ろに行けたのかを僕はひたすら考えていた。するともう一人の僕が突然霧状になりながらどこかに消えた。でも僕は更に驚異的になって再び僕のもとに来ることがなんとなく想像できる。しかし逃げてしまってはもうどうすることもできない。一体その時にはどんな感じで強くなっているのか全く予想がつかない。とりあえず僕はこのことを姿忌に報告しにこの館を出た。その時の空が黄昏に染まって太陽があとちょっとのところで沈みかけてもう夕日になっていた。
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