第6話

とおるが出ていっていってしまったのを見届けて、机の上に置いたランドセルから今日の宿題のプリントをだした。


今日の宿題は算数。

足し算と引き算のプリントだ。


いつもはとおると一緒にやる宿題だけど、園長先生に呼ばれていないため、先に始めることにした。


私は勉強が大嫌い!!

そんな私と違ってとおるは勉強がよくできて、テストもいつも100点。

小学校に入って初めてもらった通知票も、全部"よくできる"に○がついてた。

走るのも1番だし。

勉強も運動もみ~んなできる。


対称的な私たち兄妹を、ほんとに兄妹なの!?

施設にいるからダメなんだと関係ないことまで持ち出してからかう子もいたりした。


悔しくて涙ぐむ私の手を、とおるがぎゅっと握りながら、

「頭がいいとか悪いとか関係ない。

なちは心が優しくてあったかいんだ。

人のこと悪くいったりバカになんて絶対にしない‼️」

からかう子たちに向かって叫んだ。

「俺なんて、園の手伝いさぼったりするし、わがままだし。でも、なちはみんなが嫌がることも進んでやる。

なちのほうがずっとずっといいこなんだよ。

なちのこと、バカにするやつは許さないからな‼️」


震える小さな手で、私の手をぎゅっと握りながら、助けてくれた。

人と争うのが大嫌いなとおるが私のために、怒ってくれた。


この時、ほんとにほんとに嬉しくて。


私の大事な大切な兄(とおる)を、守れる人になりたいと思ったんだ。



とおるの言葉に、


"ごめんなさい。"


からかってた子達が謝ってくれて。


「よし、仲直り‼️」

みんなに向かって笑顔で答える。


「------ありがとう、とおる」

私の小さな声に、繋いだ手をぶんぶんふりながら、にこっと笑ってくれた。

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In hope of your happiness あゆあ @ayu-ayu_yua

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