第10話

魚が降り注ぐことをやめた日。

かんかん照りに光る陽を浴びて、

ワイズマンは窓を開けて茶を飲んでいた。

島中から魚が焼ける音、

華やかな料理の香りが漂っている。


最近この島では船の行き来が増えた。

なぜならこの国を牛耳る政治家や権力者が

不思議なことに今までの悪事が島を越え、

他の国に伝わることになったからだ。

「嘘をついていたんだね」

とクリストフが問いかけた。

彼は後ろから私の様子を眺めていたのだろう。

「そうだよ、島中を包み込んだ嘘だったんだ」

「もっと昔から魚が食べれていたんだね」

「そう、市長が言っていた薬は嘘だったんだ」

「嘘?」

「そう、嘘だ」

「もうすでにどの国でも

魚が獲れなくなっていた。

それはなぜかわかるか?」

ワイズマンは鼻をくいっとかいていう。

「わからないな、にいちゃん」

「大気汚染だよ、環境問題だ」

「いや、嘘だよな、にいちゃん。じゃあこれは

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フィッシュランドの便り 雛形 絢尊 @kensonhina

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