第7話 気軽さの罠 - 境界線を越える瞬間
SNSは、誰でも簡単に意見や日常の出来事を発信できる「気軽さ」が大きな魅力です。しかし、その気軽さゆえに、ほんの一瞬の判断ミスや衝動的な投稿が、人生に取り返しのつかない影響を及ぼすことがあります。この「境界線」を越えてしまう瞬間は、意識することなく訪れるため、そのリスクを正しく理解しておくことが必要です。
まず、気軽な「シェア」や「リツイート」が、後々大きな問題に発展するケースがあります。たとえば、友人や知人のプライベートな情報を無意識にシェアしたり、または興味本位で過激な内容や信憑性のないニュースをリツイートしたりすることです。これらは一瞬の行為ですが、広く拡散されることで、大きな誤解やトラブルを招く可能性があります。また、他人のプライバシーを無意識に侵害してしまい、信頼関係が崩れたり法的な問題に発展することもありえます。SNS上の「共有」は非常にパワフルな行動であり、その気軽さが大きな危険を孕んでいるのです。
次に、「投稿内容」に関するトラブルも、SNSの気軽さが引き起こす代表的な問題です。日常の愚痴や他者に対する批判を軽い気持ちで投稿することが、後に深刻な影響を及ぼすことがあります。特に、自分の職場や学校、家族についての不満や、特定の人物に対する批判を投稿した場合、予想以上に大きく拡散され、対象者に知られてしまうこともあります。このような投稿が原因で、仕事を失ったり人間関係が崩れたりすることは珍しくありません。SNS上の発言は、投稿した瞬間から「自分のコントロールを離れる」ことを肝に銘じておく必要があります。
また、SNS上での「炎上」は、ほんの一言の不適切な発言がきっかけで起こることが多いです。気軽なコメントが、他者に対して不快感や反感を与え、大量の批判や誹謗中傷にさらされることがあります。例えば、不用意に偏見や差別的な発言をしたり、無責任な情報を拡散することで、社会的な批判を浴びることになるかもしれません。SNS上での「炎上」は、個人のイメージや信用を一気に失墜させ、場合によっては長期間にわたる精神的な苦痛を引き起こす原因となります。このようなトラブルは、たった一瞬の発言から始まることがほとんどであり、SNSの「気軽さ」がもたらす最も危険な側面の一つです。
さらに、SNSで「見栄」を張ることや「過剰な自己アピール」をすることも、気軽さの罠にはまる典型例です。他人に良く見られたい、注目されたいという心理から、実際の生活とかけ離れた自分を演出しようとすることがあります。しかし、こうした行動がエスカレートすると、精神的な疲労や自己評価の歪みを引き起こし、最終的には自己否定感に繋がることもあります。SNSでの「見栄」は、気軽に自己表現ができるからこそ陥りやすい罠であり、自分を大切にするためには慎重になるべき部分です。
気軽さの罠を避けるためには、SNSの利用に際して「一歩立ち止まる習慣」を身につけることが大切です。投稿やシェアをする前に、それが本当に必要な行為かどうかを再確認し、自分や他人に対する影響を考えることが重要です。また、他人と自分を比べず、自分自身を受け入れる姿勢もSNSを健全に利用するためには欠かせません。
SNSは一度踏み出してしまうと戻れない「境界線」があることを意識し、その一歩が自分の人生にどのような影響を与えるかを考えることが求められます。次回は、「脱SNS」の選択肢について考え、SNSを手放すことで得られるものについて掘り下げていきます。
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