第2話 SNSがもたらす犯罪の現状

SNSが普及したことで、私たちは以前よりも気軽にコミュニケーションが取れるようになりました。しかし、この「気軽さ」が新たな犯罪の温床となりつつあります。詐欺、ストーキング、名誉毀損、詐欺勧誘、脅迫など、SNSを介した犯罪が日々ニュースで取り上げられており、SNSが社会に深刻な問題を引き起こしていることが明らかです。


特に、詐欺事件がSNS上で頻発しています。SNSを利用した詐欺は、巧妙に偽装されたアカウントやメッセージでターゲットを騙し、金銭を奪い取る手口が一般的です。例えば、偽の有名人や企業アカウントを装って「プレゼント企画」を行い、個人情報やクレジットカード情報を盗む詐欺が増えています。また、恋愛感情に付け込む「ロマンス詐欺」も深刻です。被害者はSNS上で知り合った人物とオンライン上の恋愛関係に発展し、最終的には金銭を要求されるというパターンが多く、被害総額は非常に高額になることもあります。


さらに、SNSがストーキング行為を助長するケースも増えています。SNSでは、日常生活の出来事や場所、友人関係などを頻繁に投稿することで、自分の居場所や行動が特定されやすくなります。そのため、悪意を持った人がこれらの情報をもとにストーキング行為を行うことが可能です。自宅の住所や勤務先、友人関係までもが明らかになり、物理的な危険にさらされるケースも少なくありません。SNSが私たちのプライバシーを無意識のうちに侵害する手段になっているのです。


また、SNS上での誹謗中傷や名誉毀損も犯罪行為の一つとして問題視されています。匿名での投稿が可能なため、簡単に他者を批判し、時には悪意のあるデマを流すことができます。こうした誹謗中傷により、被害者は心理的に大きなダメージを受け、最悪の場合、命を絶つこともあります。インターネット上での誹謗中傷がいかに深刻な問題であるか、社会全体で認識を持つことが求められています。


さらに、SNSは勧誘や違法なビジネスの場としても悪用されています。詐欺的な投資案件や、違法薬物の取引、無許可の副業勧誘などが横行し、特に若者がターゲットになりやすい現状があります。SNS上では一見魅力的な話としてアプローチされ、実際には違法行為であったり、被害者が経済的に破綻するリスクを伴うケースも多々あります。


こうしたSNS上の犯罪が増加している背景には、匿名性やアクセスの簡便さ、そして人々がSNSに依存し、そこに多くの情報を投稿する傾向があることが挙げられます。SNSは、私たちの生活を便利にするツールである一方で、犯罪者にとっても「都合の良い場所」となってしまっているのです。


SNSを安全に利用するためには、私たち一人一人がその危険性を正しく理解し、情報の取扱いやプライバシーの管理に慎重であることが求められます。また、各SNSプラットフォームも犯罪を防ぐための対策を強化し、利用者が安心して利用できる環境を整える必要があります。


次回は、SNS上で横行する誹謗中傷について掘り下げ、その被害の深刻さと社会的な影響について考えていきます。

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