オリジナル意味が分かると怖い話

沼津平成

1.意味が分かると感動するホラー

第1話 ふわあ、よく寝た。沼津平成

【1/4】


 ふわあ、よく寝た。

 え? ここどこ?

 あ、ああー、なるほどね。

 マットが白い。

 ということは……

 なるほど、ここは病院なのね。

 少し赤い、あれは僕の――血?

 でも、なんで?

 

 しばらくしていると記憶が戻ってきた。

 キキ―っという音。

 バサッという音。

 一瞬で、目が暗くなる。


 しばらくした。

 ようやく事態が呑み込めてきた。

 つまり――僕は交通事故にあったのだ。

 それで、どういうわけか、僕が倒れて……そんで、死んだ、と。


【2/4】


 次の日。病院の人がやってきて、「起きてる!」といった。

「はい、昨日、起きて、そんで……」

 すると病院の人は、ベッドを倒した。

「無理しないで。話せたら、話して」

「話せます」

「おお、どうやら元気のようだ」

 病院の人が目を細めた。

「あの」

「なんだい?」

 帰り際、僕は病院の人を呼び止めた。

「ああ、起き上がらないで……」

 病院の人は僕のほうに戻ってきた。「かなりの重傷だよ」

 そういえば痛い部分がある。今までマヒしていたのか。

「僕が負傷することになった経緯を話してくれませんか?」


「「「「「以下、ネタバレ……」」」」」


【3/4】

 

 僕は病院の人と数分話して、分かったことをパソコンにまとめた。まだ指が痛い。数時間かけ、苦労してやっとタイプした文章は、誤字脱字があったが、僕には愛しく思えた。

「僕は、ある日、車にひかれそうになった。そこを、スーパーマンが通りかかって、僕をかばおうとし、かえって僕を押し倒してしまった。が、そのおかげで僕は車の左のタイヤと右のタイヤの間に運よく挟まり、生き延びた――。

 

【4/4】


 なんだよ、このスーパーマンは新米なのか?

 と、僕は思った。それでも苦笑いしながら、何とか席を立つ。

 

――でも、人生やり直せるな。


 僕は窓に目をやる。太陽が反射して花瓶に輝いていた。花がない花瓶。


――今の僕なら花を咲かせられるぞ。


 体が痛んできた。僕はまた横になって、美しき未来に思いをはせた。

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