リフレクション/snowdropさんへ💗
リフレクション/snowdropさん
https://kakuyomu.jp/works/16818093090390669329
ようちゃんをご指名ありがとうございます💗
わたしのファンサとしてこちらにて感想及び僭越ながらアドバイスなどをさせて頂こうと思います。先に言っておきますと、今回はアントニオ猪木ばりのビンタはありませんのでご安心くださいませ。
今回は感想書きの犀川が、感想書きのsnowdropさんの作品の感想をファンサで書くという、非常に珍しい機会をいただくことになりました。
snowdropさんの感想スタイルは、作品と作者に寄り添い、更なる改善の為に何が必要かの処方箋を出すという内科医スタイルです。作品自体や文章構成や表現について丁寧に扱い、内容を解説していきながら作者に感想を提示してくという極めて正統的なスタイルで、みなさんの作品も一度はお世話になっているかもしれません。
一方、わたしはというと作品や作者に慮ることなく、病巣を発見したら摘出することにしか興味がない、荒くれ外科医みたいなもので、良いものは良い、悪いものは悪いをはっきりさせて本質を問うていくスタイルです。ですので感想を求める側に非常に重い負担を強いるので、一般的にはヤバイ感想書きなわけです。辛口とかそういうことではなくて危険みたいな。あ、だからといって北斗の拳のアミバちゃうで!
さて、snowdropさんにもリクエストを伺いまして、具体的に挙げていただきました。こういう正確さはやはりsnowdropさんらしいですね。
・詰め込みすぎているので問題はあると思いますが、物語の構成や展開に問題はないか。
・キャラクターの描写は十分に深みがあるのか。主人公以外が不足してると思いますので、どう描写をするといいのか。
・テーマの表現は効果的になっているか。
・文章や表現に改善の余地はないか。
・読者の興味を引き付ける要素が十分にあるのか。
・全体的な印象として、どのような点が最も気になるのか。
忌憚のない感想をということですので、すべてにお答えできるかわかりませんが、わたしなりの正直な感想をファンサとして述べたく思います。普段snowdropさんの読者さんにおかれましては、「同じ感想書きでも、観点が違う」ところをだけを見ていただければと思います。
まず全体的な話から入りたいと思います。原作『蹉跌の彩り:白い朝が過ぎるとき』を一切読まずに拝読いたしました。
・全体的な印象として、どのような点が最も気になるのか。
snowdropさんですので、世辞を入れるのは失礼だと思いますからいきなり本題に入りますが、御作を通読しましての第一感は「ん? んん?」でした。
まずですね。おそらく混乱の元凶になっているところなのですが、御作が「原作を読んだ上で本作を読め!」というスタイルで書かれているのか、「原作を読まなくても本作のみで完結してますから安心して読めますよ」なのかという、根本的なコンセプトに徹底度合いが足りないのではないかと思いました。この軸足がしっかりしていないので初見からの読者は、登場人物の不特定さに不安を覚え、各イベントの具体性をどう理解をすればいいのか戸惑い、「私」の心の変動にどう同期をとればいいのかわからなくなってしまうのです。つまり、読者が感情移入する「とっかかり」をなかなかつかめなくなっているのです。
そうでありながら、文章といいますか文体や言葉遣いは非常に正確かつ簡明で、ストーリー自体もわかりやすいので、「あ、あれ? この小説を理解できないのは、わたしの読解力がないから!?」と、読者に動揺と不安を余計に与えてしまうような結果になっていると思うのです。これがわたしの一番言いたいところになります。
・キャラクターの描写は十分に深みがあるのか。主人公以外が不足してると思いますので、どう描写をするといいのか。
一人称で「私」「彼」「幼馴染」など、アンネームドの抽象的な存在のままで小説を書く場合、短編・長編によって違いますが、御作の場合、せいぜい四人が限界だと思います。読者が登場人物を把握しきれないからです。
さらにこれが「スピンオフ」ということなると、読者側はまったく知らない登場人物であっても、「知らなければついていけない」という謎のプレッシャーに襲われるのですね。なので、文中で「幼馴染」と「彼」は同一人物なのかなどの人物トレースに意識を持っていかれることになります。そうなると読み手は、①登場人物を理解する、②ストーリーを理解する③(未読の本編に対しての)世界観を理解する、の三つのことを同時並行で頭を動かさなければなりません。これではせっかくの素晴らしい作品であっても、読者側が安心して楽しめないということになります。
・テーマの表現は効果的になっているか。
・読者の興味を引き付ける要素が十分にあるのか。
・キャラクターの描写は十分に深みがあるのか。主人公以外が不足してると思いますので、どう描写をするといいのか。
釈迦に説法になりますが、小説しかも短編において読者を引き込むにあたり冒頭部が極めて重要なのはいうまでもないと思います。
「悪いけど、もう来ないでくれる。あなたの顔を見ると、辛かったあの子の看病のことを思い出すから」
重たげな鉄扉が(中略)
無知は罪だからこそ知ろうとするのは誤りではない。だが、常に正しいとも限らない。おばさんの行いは悪くない。訪ねる自由が私にあるように、拒む権利を彼女は持ち合わせている。
この時点で、読者は「私」と「おばさん」と、私がおばさんを「彼女」と呼べる関係であることを知ることができます。
しかしながら、これ以降、私と「おばさん」の関係が冒頭部に来る意味合いも展開もありません。読者は冒頭で「(スピンオフとして)、こういう後日談があるのだな」という理解をストックして読まねばならず、しかもそのストックが無駄に終ることに頭のリソースを裂かねばなりません。
御作全体にいえることは、スピンオフや二次創作作品にありがちな「情報の提供不足」なのだと思います。当然のことながら、snowdropさん自身には『蹉跌の彩り:白い朝が過ぎるとき』の作者としてのイメージがありますので、「私」や「彼」が誰であって何をしているのかという整合性を持っているわけですが、読者はタダでさえスピンオフという「よそ者読者」というハンデを背負いながら、物語から自分なりにピースを探し出し、それを当てはめて理解という真っ白な無地のパズルを完成させなければなりません。どんな名著であっても5W1Hという大原則の情報がなければ、わたしたちはそれが何の古文書かもわからない、ビリビリに破れた紙を復元する仕事に従事することになってしまいます。ですので、登場人物の立ち位置と相互関係の情報は絶対に必要なのです。
・文章や表現に改善の余地はないか。
文章や表現についてはわたしが教えを乞いたいくらいに正確かつ簡明で、ご自身もそれを重要視されているだろうことは伝わってきます。ですのでこの点につきましては、わたしがどうこう言う余地はないかなと思います。
あえてのあえてで言わせていただけるとしたら、snowdropさんくらいの筆力があれば、もう少し比喩や暗喩を用いることで文章を装飾して”リッチ”にしてもいいかなと思いました。「私」が女の子ですので、ちょっと盛るのもありかなーと。
・詰め込みすぎているので問題はあると思いますが、物語の構成や展開に問題はないか。
文章が非常に読みやすく、話のひとつひとつがとても良いので、「詰め込みすぎ」であってもこれはこれでいいのではとわたしは思います。構成や展開に関しても同様に思います。snowdropさんの世界観ですので、他人がどうこう言うところではないと考えます。
ただ、何度も申し上げて恐縮ですが、いかんせん登場人物関係だけが簡明でなく、前提不明の名作劇場を鑑賞している気持ちになってしまいます。
本企画は単体で成立する小説を前提に募集していますが、スピンオフでも二次創作でも構いません。しかしながら、やはり単体で読んで感動したかったな、というのがわたしの気持ちです。
色々と好き勝手を申しましたが、わたしとて「それだけ言うのであれば、お手本を書いてみせろ」と言われれば、まったく書くことはできません。小説のコーチ屋としてはそれなりのキャリアもあってそこそこだと自負をしておりますが、プレーヤーとしては二流の域を出たことがないからです。
ですので、本ファンサもsnowdropさんにとって、「観点のひとつ」という扱いで読んでいただけたらな、と思う次第です。
以上、わたしなりのファンサを書かせていただきました。参考にしていただければ幸いです。
最可愛女子💗たちが感想書いちゃうぞ⭐️ 犀川 よう @eowpihrfoiw
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