第2話

 警察署に連れて行かれ、薄暗い応接室のような場所で取り調べが行われた。

「君、名前は?」

「先に名乗ってくれよ」

「俺は則樹って言うもんだ。で君は?」

「越沢亮介…20歳…」

 亮介は眠気と酔いが回っているせいで、呂律が回らない。時計は午前2時を回っていた。

「最近の新宿は夜になると若いのが騒いで物騒だよな。君が倒れている近くで若い男が血だらけでぶっ倒れてるのを発見したよ。あれは酷かったな」

 亮介の眠気と酔いが少し覚める。亮介はぼんやりした視界がスゥーと明快になると机に身を起こして則樹警部に尋ねる。

「その血まみれの男と俺に何の関係が?」

 亮介の声は震えていたが平静を装う。亮介はジッと則樹警部を見つめて問う。

「さぁな、俺は君の拳と顔に血が付いてたから何か知ってたんじゃないかと思ってな」

亮介はスッと目を逸らし部屋の角を見つめる。

「君は普段何してんの?」

「生きているだけさ…」

「そう言うことを言ってるんじゃないんだよ…」

 則樹警部は苦笑いして亮介を見る。すると腕に小さな丸い火傷の痕を見つける。

「その火傷…だいぶ古いね。昔やったヤンチャの痕かい?」

 そう亮介に尋ねるも沈黙が流れる。すると、女性の甲高い喚く声が聞こえた。

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デヴィト・ボウイに憧れて @johnny773

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