第3話、新緑から梅雨入り前の暑い日々
入学してから1週間がたった。
ボクたち1年生も給食が始まった。
クラスで数人ずつ、給食当番として給食の受け渡しや配膳を担当する、
のだが身体も小さく力もないひよっこたちだから、6年生がお手伝いをしてくれる。
ボクの学校はほとんどの学年が3クラスずつある。
1年も3クラス、6年も3クラス。
というわけで、1年1組には6年1組がお手伝い来てくれる。
これは給食当番だけではなく、ほかの行事なんかでもそんな感じだった。
だから、入学してかすぐにあった「学校ツアー」てなイベントで、
6年生が一人ずつ付き添い、校内を案内してくれるってものでも。
ボクたち1組には6年1組の人たちがやってくれた。
そうなるとまたボクはひとりぼっちになる。入学式の時と同じく、列の最後に並び隣に誰も来てくれない状況でぼんやりとあすかの横顔を思い出していた。
すると前にいた体格のいい男子6年が。
「あ、きみひとりになっちゃうんだね。じゃ、僕が二人とも手をつなぐよ」
と両手を出した。
名前順でボクの前になる吉田さんとボクのてをつなぎ、1組の列の最後だけ3人で校内を歩いた。
途中、他のクラスとすれちがった。
3組の先頭にあすががいた。すれちがいざま、あすかは少しだけボクの顔をみた。
そして微笑んでいた。
ただそれだけなのに、なんだかうれしい気分になった。
あと少しでGWというとき、学校公開日なるものが始まった。
要は授業参観だ。
ボクが幼稚園の年長になった頃「営業」という仕事に復帰したママは、
仕事を休んで見に来てくれた。いや、他のママ友に会いに来ていた。
ボクの授業はちらっとみただけで廊下で誰かとずっと喋っている。
2時間目と3時間目の間にある長い休み時間に、ボクは廊下に出てママの姿を探してみた。
廊下で3人ほどで話し込んでいる。ボクは「ママ?」と声をかけたけど
なんだか迷惑そうにあしらわれた。話の邪魔をするな、って感じで。
ママのママ友だけど、その人たちの子供が誰なのかボクは知らなかった。
仕方なく、廊下を遠回りして教室に戻ろうとした。階段の踊り場であすかの姿が見えた。
一緒にいるのは、あすかのママ? あすかよりずっと背の高い、綺麗な顔をした、でもとても
あすかに似てる顔をした女の人。
あすかはなんだか怒っているように見えた。そして隣のママらしき人も不機嫌そうだった。
「せっかく無理して時間作ったのに。なんなのその態度」
「べつに来なくてもいいって言ったじゃん」
お互いにきつい口調で言い合っていた。
ボクはあすかに見つからないように小走りでそのばから離れた。
教室に戻ると。先生が黒板に大きな字で何か書いていた。
「うんどうかい」
「1月3月5月7月9月11月うまれのこは あかぐみ」
「2月4月6月8月10月12月 うまれのこは しろぐみ」
と書かれていた。
この学校では5月の終わりに運動会がある。
赤組、白組にわかれるんだけどその組み分けは生まれた月で決めるようだ。
あすかが言ってたのはこのことか。
同じ組になれるんだ。ボクはすこしだけ嬉しかった。
黒板には、でるもの、として
「かけっこ」
「ダンシング玉入れ」
「はっぴーたいそう」
と書かれていた。
ボクは運動が苦手だ。かけっこなんか大嫌い。
そしてリズム感もわるく、幼稚園お遊戯会でダンスしたときは周りの女の子にドン引きされていた。
何も活躍できそうにない。せっかくあすかと同じ組になる運動会なのに。
憂鬱でしかなくなっていた。
ボクの初恋のひと~出会いそして初めての失恋 りりあ @peh04612
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