第3話

あぁ、なんと素晴らしいゲームなんだ。この他にも様々なキャラクターが登場する。もちろん、ビール党を支持する層もいるのだ。


 主に、ビールと共に人々に楽しまれるおつまみ達なのだが、特に魅力的なのは、謎の美女、モッツァレラだ。彼女の悲劇的な結末を考えるだけで涙がよりいっそう溢れてくる。


「ビールじゃない私が何故ビールと手を組んでいるのか? もちろん、最初は利用するためだったわ。でも、気づいたのよ……。私のためにビールがあるんじゃない。ビールのために私がいるんだって」

  

 という死に際に言ったセリフに一体何人のアル中が涙しただろうか。


 そしてその後にあるムギバタケ山にて行われる魔王エビスとの最終決戦で、勇者ゼイムは剣の師匠から教わった必殺技、酒税搾取剣で白く輝く剣が魔王エビスの金色の体を切り裂くと、エビスの体から叫び声とともには金色の液体が零れ落ちる。これで世界を救えると安堵する主人公ゼイムに、魔王エビスは一つの忠告をする。


「わ、我輩を倒したとしても、すぐに第二、第三のビールが現れるぞ……。人々の心に欲望が、闇が、ある、かぎ……り」


 それを言い終えると、魔王エビスは白い泡のようになって空へと舞いあがり、夕焼けの中消えていった。


 このとき、勇者ゼイムは誓ったのだ。例え第二、第三のビールが現れようと、自分がかならず倒す。この、酒税搾取剣で。


 あぁ、なんだろう、色々と思い出すうちに実はとんだクソゲーなんじゃないかということに気付いている自分がいる。


 全く、こんなゲームに夢中になるなんて、まさに、アル中だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

R~CALL~ アルギニン配合@大泉 @zumio999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ