第7話 雑魚なんですか?

「ネコさん!?リスカした!?」


満点の星空の下、ツインテールの魔法少女に問う。


「だ、だって、トウマ君が私をこんなに幸せにするから、、!ついつい、、」


嬉しリスカ!?

そんなことあるか!?


リスカした契約行為だけじゃここには呼び出されないヨ!」


パッと光からノブノブが現れた。


「やぁ!昨日ぶりだネ!」


愛らしくも憎らしい喋り方の狐に問う。


「じゃなんで?」


「ヴォイド──出現サ!!」


途端に爆発音!!!


「なんだ!?」


下手に見える街が揺れているのがわかる。

高層ビルは特にわかりやすい。


幸か不幸かそこに、人の気配は無かった。


「トウマ君、また駅前に、、なにか小さいのが」


そういうネコさんは指でそちらを示す。

その先を見つめると、、小さな影。


「今回はあれが敵だネ!では早速行こう!ネコちゃん!」


「トウマ君、、いいですか、、?」

直ぐにそれを理解した俺は頷く。


そして少しだけ恥ずかしがってネコが叫ぶ。


「アムール!!」


パッと光った俺はカッターの剣となり、ネコの手に握られる。


「では──参ります──!!」



❖❖❖



駅前の小さな影は70センチぐらいのトカゲ。

二足歩行だが、背には翼が生えている。


「かなり弱そうなんだけど、、」


「倒しちゃいましょう」


ネコが驚異的な脚力で地を蹴る。


10メートル以上も離れた位置から、剣の間合いまで入るのには約1.5秒しかからなかった。


そしてトカゲを──


「ネコさん避けて!」


炎玉を吐き出しやがった!!


小さい口から、体と同じぐらいの大きさのもの。


ネコに躱されたそれは、時計台に直撃。

鉄製の時計は、ドロッと溶けていく。


「あぶなかったです、、、」


と、そこからまた2つの火炎。


ネコからするとそれはあまり早くないようで。

すっと躱し、


「キェェェ」


トカゲを2つに分断した。


「終わり、、?」

「倒してしまいました、、」


あまりの呆気なさ。

ネコは恐る恐る近づいてその亡骸を俺でつつく。


やめれ。


「死んじゃいましたか?」


その時、ノブノブが今までに聞いたことないような声で叫ぶ。


「ネコちゃん!!避けて!!!」


トカゲ亡骸は大爆発!


さっきの爆発音はこれか──!!


既のところで後ろに飛び退けたネコ。かなりの反射速度と身体能力だ。


「ネコさん!大丈夫?」

「なんとか大丈夫そうです」


よかった。

そんな安堵はつかの間だった。



月光が遮られる。


「あ──」


あまりの驚異に、マトモな声が出なかった。


天に浮かぶは、全てを飲み込まんとする黒き龍。

漆黒の巨躯から伸びる6つの翼は、光を断つ。

見下ろす眼は無機質に。

重々しいあぎとは冷徹に。


「無理だろ、、あれは、、、」


天に浮かぶ黒龍。さっきの小さな蜥蜴とかげとは比べ物にならないほどの。


絶望。ただその一言だった。

倒せない。俺たちだけではあいつを倒せない。

それだけが理解出来た。


しかし、


「ノブちゃん、あれを、、倒せばいいの、、?」


「おや、まだやるきだネ!そうサ!あいつが今回のヴォイド。ジャヴァウォック」


「、、、私たちが逃げたら、この街はどうなっちゃいますか──」


少し震えた声。

それに対して、無機質に機械のように答えるノブノブ。


「消滅するネ」


「、、、そうですか──」


グッと俺を握る手が強くなる。


見ただけでわかる絶望的な状況。俺たちが戦う道理はない。なのに、、


「──トウマ君、やれますか──」


彼女は諦めていなかった。


俺は、俺は、、



彼氏だからな。


「大丈夫、やろう、ネコさん──」



❖❖❖



夜空を魔法少女が駆ける──!!


対峙するは、六の翼の黒龍!


時速はゆうに80キロを超える。滑空と飛翔。

風が壁になってぶち当たってくる。


「はぁ──!!」


先制は魔法少女だった。

滑空の勢いに載せた、脚を狙う、横薙ぎの斬撃。


飛翔による回避を許さない速さ。


しかし、


「硬い──!!」


強剛な鱗を、剣は傷つけすら出来ない。

甲高い音を立てて、弾き返される。


それを逃すまいと、迫り来る顎。

しなやかな回旋を見せて、俺たちを食いちぎらんと迫る。


少女は目に追えない速さで天高く更に舞う。


獲物を捉えられなかった捕食者は、その尾を振るう。


それをで剣で受け止める。

火花をあげる刀身。


「ぐっ──」


やがては力に耐えられず──


「あぁっ──!!」


真下に突き落とされる。


これは、まずい──!

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学校イチのマドンナが、実は地雷で、魔法少女だった話 冬 秋 @Mis_____Aki

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