近くなって遠くなって


携帯がなったので確認をすると


たいり[今日はありがとう。

また行ってもいい?]


最初にあった日。うん。とか全然。とか

そんな会話しかしてくれなかった人が

少しずつ言葉を選びながら話してくれたのが

嬉しかった。


あき[いいよ。いつでも。]



そこから、毎週火曜日、金曜日は3人で泊まりが恒例になった。

トランプをしたり、ドラマを見たり、

優オススメの漫画を見たり。

優とたいりは野球が好きで、私は妹しかいないので男がいないお父さんにとっては

いい野球観戦仲間になっていた。



そんな生活を1ヶ月続けた。

いつもと同様、金曜日うちに来ることになっていた。

その日は、両親の結婚記念日で

日曜日まで旅行に行っていて

妹も友達の家に泊まりに行くので

リビングでテレビ見れるー!DVD借りに行こー!なんて話してた日だった。

いつも、たいりのがバイトが終わるのが早く

先に着く。

最初は優を待っていて一緒に来てたが、

慣れてきてたいりが先に来るようになった。


ドラマを見て、優を待ってても

まったく来ない。電話も出ない。

そして、やっと電話が繋がったのが10時前。


たいり「ごめん行きに携帯落としてさ、、、

今やっと見つかって、、疲れたから

明日の昼頃行くわ!」


おいなにやってんだよ。と思ったが

よく優は携帯を落とす。

もうこの頃にはたいりも慣れてきていたので

二人でいることもまったく抵抗もなく

何も思っていなかった。

お母さんに電話してもご両親にだけは連絡しといてよ〜と言って何も言わなかった。

普通男女二人、高校生ってやばいけど、、

男友達が多くて感覚が鈍ったんだろうか。


あき「まあいっか!ってえ?!DVD借りて

くるの優じゃん!」


うちの近くのDVD屋は自転車で15分

かかるので、自転車は私のしかないし、

DVD屋でバイトの優が借りてくることになっていた。


たいり「2人なら行けるじゃん。俺前でいいよ」

あき「いや、私前はないでしょ絶対。

そんな巨人乗せたら足取れる」

たいり「、、、めんどくね?」

あき「めんどい。隣のコンビニでアイスにしよ」



結局DVDは諦めて、アイスを買いに行って

部屋でテレビを見ることにした。


その日、たいりは自分のことを話してくれた。

お父さんは友達に騙されて多額の借金を背負ったらしい。

それが原因でアルコール中毒になり、

お母さんは鬱になった。

離婚も知らない間にしていたらしい。

その後、お兄ちゃんが結婚をして子供が産まれるとお兄ちゃんのお嫁さんが子宮頸がんで

亡くなってしまい、毎日お母さんはお兄ちゃんの家に通ってほとんど帰ってこないらしい。

うちの両親は仲がいい。

嫌じゃない?見るの。と聞くと

楽しいし、居心地がいい。それに、

お母さんは俺のこともすごく気にかけてくれて

いつも電話をしてきてくれる。と言っていた。

そして、姪っ子が可愛くて仕方がないけど

子供とどう接していいかわからず悩んでいた時

絵本を読んだら気に入ってくれて

それから本屋でバイトをし始めたらしい。


なんだか、聞いてて涙が止まらなかった。

何も知らなくてごめんねって思いと、

辛い思いをしているんだな。

家でいつも1人なんて、どれだけ毎日

寂しい思いをしてるんだろう、、


たいり「え、泣いてる?つまんなすぎた?」

あき「さすがにつまんなくて泣きはしない笑」

たいり「また泣きながら笑ってる」

あき「はよティッシュ!鼻水やばい!」

たいり「あぁ、、もう。」


そう言うと、たいりはティッシュを取りに行った。




たいり「泣かないで、笑ってて。」


そう言いながらティッシュで私の涙を拭いた


あき「やめろ男出すな笑」

たいり「そうそーやって笑って。あきの笑顔

嬉しいから笑ってて」


ドキッとした。

友達だ。私は男女の友情は絶対派だろ!


そう思っていると、たいりが続ける。


たいり「俺さ、優にも話したことないんだよ。

特定の友達も作らずに今まで来た。

でもさ、毎回あきの笑顔見る度に、

幸せだなって思うんだよ。楽しいって。

なんか話したくなるし、だから一方的

に話しちゃってごめんな。泣かないで。

俺なんも辛くないから。」


あき「もうそれ以上言うな」


たいり「好きなんだと思う。あきのこと」


そう言って、手を握ってきた。

たいりと一緒に居ても触れたことは初めてな気がする。

心臓が早いのがわかる。

透き通った茶色い目、高い鼻に、うすい唇

まじまじと見ると本当に整っていて

うわ、これはやばい。と思って目を逸らした。



あき「ごめん。帰って。」

たいり「終電ない」

あき「じゃあ別の部屋で寝よ。」

たいり「聞いてた?俺初めてなんだけど告白

ずっといわないつもりだったけど。

優と楽しそうな姿見ると幸せだけど

モヤモヤすんだよ。その幸せそうな

笑顔、振りまくなって思っちゃってた」

あき「優には言わないで。優との関係終わった

らただじゃおかないから」


たいり「でも、おれあきが好きだよ。」



真剣に言ってくるたいり。

悲しそうな目を見ると辛くなる。



あき「なんか勘違いさせたならごめん。

私はたいりのこと、本当に大好きだけど

それは恋愛ではない。」


たいり「わかった。」


そこから沈黙が続いて、そのままベットと

下に敷いてある布団で離れて寝た。



そして次の日、優がきてからたいりは

いつものたいりだった。



でも、次の泊まりの日から

たいりがくることはなかった。


優にはバイトを増やしたと言っていたらしい。


それから2週間ほど火曜日、金曜日には優とほかの友達と

お泊まり会は開かれた。



でも、たいりがいないのがなぜか寂しくて、、

気づけばたいりのことを気にしていて、

優についに言われた。


優「お前らなんかあったろ。」


元はと言えば、優が携帯を無くすからだ。

なんて思った。

それから、たいりの話は優も知らないと言っていたので

そこは伏せて後は全て話した。


優「お前、たいりのこと好きでしょ。今」

あき「なんでそうなるの」

優「もうわかるでしょ自分で。いいじゃん。

まさかだけど、たいりなら任せれる」


言われてやっと気づいた、

好きになってたんだ、、、、、、



私は、優が帰ったあと、すぐたいりに電話をした。


たいり「あき?なんかあった?」

あき「今すぐ来て」

たいり「無理だよバイトが、、、」

あき「じゃあ終わったら来て。」

たいり「わかった」



早く会いたい。

本当に自分勝手だし。たいりを傷つけた。

でも、まだ思ってくれてるなら、、

お願い。そう思うしか無かった。




たいり「今から電車乗るよ」


私は駅まで走って迎えに行った。

大きい駅。人がいっぱいで、、でも、


わかった。背が高いからすぐに見つけた。

すれ違った女の子達が

「え、めちゃくちゃかっこよかったよね?!」

って話している。


私は電話をかけた。

あき「うしろ。」


たいりはすぐに走ってきた



たいり「何してんの?!どうした?急に。

ちっこいんだから見つからなかったら

どーすんだよ。」


あき「話したいことあって。」



公園に移動して話すことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 00:00 予定は変更される可能性があります

2番目に好きな人と結婚をしました(実話) @_akiju

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ