不満が無いなら、使えば良い

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

近年、スマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタルデバイスが急速に進化し、次々と新しいモデルが登場しています。そのたびに、最新機能やデザインの変更が話題となり、多くの人が次のモデルへと買い替えを検討します。新しい機種に乗り換えることには、新たな機能の体験や快適さが得られるという利点があります。しかし、私たちはこの買い替えの頻度についてもう一度考え直す必要があるのではないでしょうか。特に、現在使用しているデバイスに対して大きな不満が無い場合、それを使い続けることで経済的な節約や、環境への貢献もできるのです。


まず、頻繁に買い替えることのデメリットについて考えてみましょう。毎回新しいモデルが発表されるたびに買い替えを続けると、当然ながら出費が増えます。例えば、スマートフォンの新機種は平均して10万円以上の価格設定が一般的です。もし1年に1回買い替えた場合、単純に計算しても10年間で100万円以上を費やすことになります。この金額は他のことに投資することもでき、節約や貯蓄、または旅行や趣味に使うなど、人生の充実に役立つ可能性が高いのです。


また、頻繁な買い替えはエコロジーの観点からも問題があります。電子機器の製造には多くの資源やエネルギーが必要であり、それによる環境負荷は無視できません。特に、電子機器には希少金属や鉱物が含まれており、これらの資源を採掘する過程で環境破壊が進行しています。さらに、デバイスを廃棄する際にはリサイクルが必要ですが、すべてがリサイクルされるわけではなく、廃棄物としての処理にも環境への悪影響が生じます。長く使用することで、これらの負荷を減らし、環境に優しい選択をすることができるのです。


次に、現在使用しているデバイスに不満がないのであれば、それを使い続けることの利点について見ていきましょう。現代のデバイスは、数年前のモデルでも十分な性能を持ち、ほとんどのタスクを快適にこなせます。例えば、インターネット閲覧やSNS、メールのやり取り、ビデオ通話など、日常的な利用には十分な機能が備わっています。また、写真や動画の撮影も数年前のモデルであっても高品質で、一般の利用者にとっては大きな不満がない場合が多いでしょう。最新機種の新しい機能やカメラの性能は魅力的に映るかもしれませんが、現在の機種で十分に満足しているのであれば、わざわざ買い替える必要はないのです。


さらに、買い替えを控えることで、デバイスに対する愛着やメンテナンスへの意識も高まります。定期的にデバイスの清掃やバッテリーの最適化を行うことで、より長く快適に使用することができるのです。スマートフォンなども、OSの更新やアプリの最適化により、古いモデルでも新しい機能が使える場合が増えてきています。こうした工夫を重ねることで、性能の低下を感じることなく、長期間デバイスを利用できるのです。


また、節約だけでなく、自己管理能力や本当に必要なものを見極める力も養われます。特に、広告やマーケティングの影響を受けやすい消費者にとっては、次々と新しい商品が登場する中で「本当に必要か」を考える習慣は重要です。衝動的な消費を抑え、冷静に自分のニーズと向き合うことは、消費社会における自立の一歩でもあります。新しいものに飛びつかず、手元にあるものを大切にする姿勢は、心の豊かさにもつながるでしょう。


もちろん、全く買い替えないのが最善というわけではありません。技術の進化や安全性の向上など、一定の期間が経過した後の買い替えは必要です。しかし、少なくとも毎年買い替える必要はなく、特に不満がないのであれば、できるだけ長く使い続けることで多くの利点が得られるはずです。周囲の流行や、新しい機種の魅力に引き寄せられるのではなく、自分の使い方や満足度を重視して選択することが大切です。


最後に、節約と環境保護の観点からも、「不満が無いなら、使えば良い」という考え方は大いに意義があります。最新のモデルに常に買い替えることで得られる満足感は一時的なものですが、長く使い続けることで得られる節約効果や環境への貢献は長期的なものです。物を大切にし、計画的な消費を心がけることで、経済的にも、精神的にも豊かな生活を送ることができるでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不満が無いなら、使えば良い 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ