ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。

白川津 中々

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漫画キャラクターを召喚して敵を倒す能力を持つ佐渡は某出版社の待合室にてかつてない危機に直面していた。



「すみませんが、先生側からストップがかかりまして」


佐渡が切り札として召喚する魔闘士ガンズの登場人物、バリガロは屈指の人気キャラクターであり作者の加賀美信幸もお気に入りだと公言している。故にその扱いは難しく、「二次創作は絶対に許さない」と本人がSNSにて発信していたわけだが、そのキャラクターへの愛が、佐渡に牙を向いたのである。



「いやいや、だって、世界の存亡がかかってるじゃないですか」


「先生もそれは承知しておりまして、だからこそこれまで黙認されていらっしゃったんですが、我慢の限界がきたと」


「何がいけなかったんでしょう」


「この前、敵を倒してバリガロが返り血を浴びていたじゃないですか。それがよくなかったようです」


「バリガロは確かに潔癖ですけど、戦ってる時結構汚れてるじゃないですか。それこそ血浴びてますよ」


「私も同じ事をお伝えしたんですが、"違うんだよなぁ"と」


「何が違うんですか」


「分かりませんが、先生が言うので」


「いやいや、バリガロが何度窮地を救ってくれたと思ってるんですか」


「そこもですねぇ。先生的にはよくないらしくてですねぇ」


「え、なんでぇ」


「なんかですね。バリガロは人助けなんかしないし、なんなら敵側につくと、キャラに愛がねぇなぁと仰っていまして」


「あ、それは解釈違いです。バリガロは人類側で戦いますよこういう時は」


「すみません、先生が仰っているので、解釈は違いません」


「なんですか、じゃあ二次創作は個人の意図や解釈を挟んじゃいけないってんですか」


「弊社におきましては二次創作を含む作品やキャラクターの盗用、無断利用、転載の一切を許可しておりません」


「あ、すみません……」


「とにかく、今後加賀美先生のキャラクターは召喚しないでいただきたいです」


「それで人類滅びたらどうするんですか」


「その場合、先生は本望だと」


「あんたらそれでいいのか。親や家族、友人、恋人、みんな死ぬかもしれないんだぞ」


「作家を守るのが最優先です」


「……」




勢いと並々ならぬ覚悟に佐渡はバリガロの召喚を諦めざるを得なかった。敵の苛烈な攻勢に対して切り札を失った佐渡に、人類に打つ手はあるのか。


結末やいかに。

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ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。 白川津 中々 @taka1212384

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