T梁学園高等部の双子と生徒会に纏わる話(仮)。

第1話 人違い


 弟の昭が、顔にケガをして帰ってきていた。

 生徒会での仕事のために帰宅が遅くなった揚は、食卓で米を頬張っている弟の赤紫に腫れた目元と口を見て、思わずエッと声を上げた。

「河川敷の階段でふざけて転んだんだって言うのよ。もう、いくつになったのって話よね」

 大皿にせっせと唐揚げを乗せながら、佳子は横に座っている息子をちらっと一瞥してわざとらしく肩をすくめてみせた。昭はうっとうしそうに眉を寄せただけで何も言わずに、ただ口をもごもごさせた。口の中の傷にさわらないように慎重に咀嚼しているようだ。

 おかずの補充を終えた佳子は、空いていた席に白米と味噌汁を並べてから、自分も元の席に戻った。新しく並べたのは揚の分だ。空いていたいつもの席に腰を下ろしながら、揚は対面に座る昭の顔面の傷をそろりと窺い見た。どうやら、顔の左側が特に腫れているようだった。

「まったく、小っちゃい頃からどうも、昭の方がやんちゃだわね。昔なんか毎日のように足をすりむいて帰ってくるもんだから呆れたけど、全っ然変わってないんだわ」

 もう、とため息交じりに吐き出し、それでどうやら気は済んだようで、佳子も黙って食事を始めた。漆野一家の食卓は、おおむね毎日こんなところだった。母がひとしきり喋って満足したら、その後は皆あまり喋らない。父親は、仕事の都合で家に帰ってくるのは週に一、二回程度だった。

 小声でいただきますと呟きながら、揚は思った。昭は確かに幼いころから双子の兄の揚よりも活発で、運動もケガもよくする子供だった。二人が中学生の頃、漆野一家は千葉にいたのだが、昭ばかりがよく街中でケンカをしてはボコボコにされて帰ってきた。顔を間違われたくないから揚は二年生の頃に伊達メガネをかけ始めたが、それでも間違われることがあった。それに腹を立てて、揚までが昭にケンカをふっかけてしまうこともしばしばあった。またそういうときには、ドローはあっても、揚が勝ったことは一度もなかった。昭と揚は確かに双子だが、それでいながら「似てないね」と言われがちであるのもおおむねそのようなところのためであった。二卵性の双子であるゆえなのだろうか?

 今年の春に引っ越しに合わせて都内の進学校であるT梁学園高等部に進学し、半年のうちは昭もお上品にしていた。だというのに、夏休みが明けたとたんにこのような顔になって帰ってくるというのは、「結局か」と言うべきか「やっぱりな」というべきか、とにかく揚からすれば、驚きながらもすんなりと納得してしまえるようなことだった。河川敷で転んだなんかどうせ嘘だろう。揚はハナから信じてもいなかった。

「ごちそうさま」

 揚のこそこそした目線を気にすることもなく、昭はさっさと茶碗を空にして手を合わせた。バンソウコウが貼られた手の甲もうっすらと赤く腫れているようだった。

 空けた食器をそのままにして昭がさっさといなくなるので、佳子はまた「もう!」と声を上げ、憤懣をあらわにした。しかしながら、この程度であればそんなに気が立っているわけではないということは、息子たちには分かっていることだった。何かにつけて言葉を発したいお喋りな母親というだけのことなのである。

 揚は唐揚げとつけあわせのレタスをいっぺんに頬張りながら、階段を上がっていく弟の後ろ姿を黙って見ていた。


「昭ー」

 ノックなしで部屋のドアを開けると、ベッドに転がっている昭が身をよじりもせずに「ン」とだけ答えた。口が痛いから返事が短いのだろうと、揚は「呆れた」の表明にひとつため息だけついてみせた。

「それで、いったいどんなステキな階段で転んだんだって?」

「お前、マジ、ウザイ」

 ケータイの画面を眺めていた目が不満げにじろりと睨んだ。言う程機嫌を損ねている訳でないことは当然、揚には分かることなので、無視して勝手に椅子に腰かけた。勉強机の上には使いっぱなしのノートパソコンと、開くだけ開いて使いもせずにそのままなのであろう参考書とノートの地層。それでも、揚の机よりは多少整然としていた。

「母さんはマジで転んだだけだと思ってそうだけどな」

 そう言って昭はケータイを軽く放って、体を起こしてベッドのへりに座った。

「ケンカはもうしないんじゃなかったの」

「ケンカじゃないよ。俺から手出したわけじゃないし……」

「T梁の制服にわざわざケンカ売ってくるような人、いないでしょ。どこの奴?」

「多分、隣町。ブロック大会で見かけたことある制服だった」

「なんでケンカ売られたわけ? 昭クンってば、もう東京でも有名人なの?」

「千葉ならまだしも、こっちで顔が知れてるわけないでしょ。てか、向こうでも別に有名人じゃねーし」

「誰のせいで僕が毎日ヤンキーに絡まれてたと思ってんのさ」

「それは、ごめんって」と、昭は爪をいじりながら口だけで笑った。何がおかしい、と言う代わりに揚はちょっと顔をしかめてみせたが、見向きもされなかった。

 しかしふと、昭が何か思い出したようにおもむろに顔を上げ、驚く揚と視線を合わせた。……相対した兄弟の面持ちは、似ていると言えば確かに瓜二つなのだが、それでもやはり「あんまり似てないね」と言われるには納得するような塩梅の、不思議な雰囲気がそれぞれにあった。

 昭は大きく目を見開いて、人差し指を揚の胸の前に突き出した。

「あいつら、生徒会に用があるって言ってたんだよ」

「生徒会?」揚は高い声で聞き返した。

「最初、ウルシノくんだよねぇって聞かれたからハイって言ったんだよ。そしたら、『オレたちぃ、T梁の生徒会に用があるんだよ』って言われて、僕生徒会じゃないですって言ったらとぼけんなって殴られた。意味わかんないから一発だけ殴り返して逃げた」

 どうやら不良の物まねらしい妙な動きを挟みながら説明するのを、揚は眉根を寄せて見ていた。漆野という姓はそれなりに珍妙で、揚も昭も今までに同じ苗字の人間に出会ったことはなかった。もちろんT梁にも、初等部・中等部を合わせてもおそらく揚と昭の二人しかいないだろう。

 当然ながら、生徒会所属のウルシノと言ったのであれば、それは一人しかいない。

「てことは、昭ちゃんが僕と間違われたってこと?」

「絶対そうだろ」

 揚は両手を軽く掲げて、手のひらを昭に向け、わざとらしい驚愕のポーズをとった。揚のつもりで昭が不良に絡まれるなんて、今まで一度だってなかったのに!


 T梁学園は初等部から高等部までが一貫の私立校である。所在は一応東京ではあるがほとんど郊外と言っていいような広い土地に、白くて巨大な校舎を構えて、通っているのは半数ぐらいがお金持ちの子息令嬢といったような、まさに絵に描いたような金持ち校だ。揚たちのように高校から編入した生徒たちはその限りではないが……とにかく「頭のいいお坊ちゃん校」といったなんとなくのイメージは、都内でも広く共有されているところである。

 しかし、T梁に対してそういうイメージを持っている人たちは、T梁が二年前まで一部不良のすみかとなっていたことを、たいてい知らない。それもそのはずだった。かつてT梁にすみついていた不良たちというのは、集団になって商店街の真ん中を肩で風切って歩くような大それたやつらではなかった。やることといえば、路地裏でたかりだの地味な窃盗だの、一般生徒相手の嫌がらせやせこい〝商売〟だの。まあ、今時不良なんて言ってもたいていそんなものだ。そんなやつらに限ってふしぎと親が金持ちだったりするもので、とにかく、色々と、こすいのである。いやに頭も切れる。教師陣も当時、下手に手を出すこともできず困り果てていた。

 そんな連中が突如、二年前の春にまとめて学園から姿を消したのだ。

 過半数が退学、周囲の高校に散り散りになり、残った者もすっかりおとなしく模範的な生徒になってしまった。その契機となったある事件、それを先導したのが、当時T梁中等部の三年生になったばかりの狭山という男だった。

 狭山京平といえば今でも学園の有名人だ。今年の春に生徒会長に就任したからである。狭山が元ヤンで、かの「T梁一斉掃討事変」(……と、一部では呼ばれている)に関わっていたことを知る生徒は実のところ少なくはないのだが、皆さまざまな経路で買収・口止めされているので噂にすらならない。だから下級生や、後から編入してきた外部生はまったくもってそのことを知らない。揚たちも、そのうちの二人だった。

 そんな当時と比べたらすっかり綺麗になった校舎にもまだ夏の空気が残る九月。夏休み気分はもう流石に抜けかけて、朝の廊下は静かなざわめきがあちこちで漂っていた。揚のクラス、一年A組の教室は二階の、階段を上がってすぐのところにあり、人の行き来がよく見える。朝は、ちょうど8時を過ぎたあたりから徐々に騒がしくなる。

 登校してから朝のホームルームが始まるまで揚はたいてい、自分の席で本を読んでいる。廊下側の一番後ろの席だ。教室の中にも人が増えてきた8時10分頃、突如、廊下から窓越しに手を伸ばして揚の肩を叩く者があった。二年C組の二ノ瀬優朔である。

「揚ちゃん、おはよー」

「ノセさん」 ……目立つ茶髪に大きな猫目のノセはまだスクールバッグを背負ったままで、廊下から教室に半身乗り出してさわやか顔だった。

 二ノ瀬優朔といえば、これもまた校内では有名人の部類であった。目鼻立ちは凛々しく精悍で、おまけに小柄で愛嬌がある、つまるところ伊達男だ。生徒会役員としてしばしば生徒の前に立つものだから女子生徒を中心にますます人気で、真偽は定かではないがファン・クラブが存在しているという噂まである。揚とは生徒会で親交があるから、所用あるとしばしばこうして教室まで来るのだが、そのたびに教室の一角がにわかに沸き立つのが揚は不思議だった。

「どうしたんすか」

「あのー、生徒会の用事ってわけじゃないんだけど……」

 ノセはちょっと目をきょろきょろさせてから、声をすこし小さくして揚に耳打ちした。「昭ちゃんのことで、ちょっと」

「昭の……? え、なんでそれ僕に聞くんですか」

「だって昭ちゃんのクラスどこか知らないもん。それより彼さ、きのう、変な人に絡まれたとか言ってなかった?」

「……他校のヤンキーに絡まれたとか言って、ケガして帰ってきましたけど」

 やっぱり、と言う代わりにか、ノセは眉を顰めて神妙な顔をした。

「それさ、緑色のブレザー着たやつらじゃなかったかな」

「いや、そこまでは分かんないっす」

「でも多分そうだよ。トバコーのやつらかな~。あー、悪いんだけど、昭ちゃんに放課後生徒会室に寄るようにって伝えといてもらえる?」

 サヤマさんが呼んでたからさ、じゃあよろしく、とだけ残して、ノセはさっさといなくなってしまった。

 残された揚は読みさしの本を開いたまま、口も開いてぽかんとしていた。

 ……いったい、昨日からなんだというのだ? ノセさんが隣町のヤンキーのこと知ってるなんて聞いたこともないぞ。それに、どうしてそのことで昭がサヤマさんに呼び出されるんだろう。

 揚には何ひとつ事態が飲み込めなかったが、そのうちに始業のチャイムが鳴って、数人の生徒と共に担任が教室に入ってきた。揚はスマホをカバンにしまう前に、隣町の駅名と「トバ高」で検索してみた。十羽高校という私立高校がヒットし、サジェストには「十羽高校 やばい」「十羽高校 偏差値」「十羽高校 不良」などといった文字列が並んだ。


 二時間目が終わった休憩時間に、サヤマは今朝コンビニで買ったおにぎりを慌ただしく口に詰め込んでいた。朝食はしっかりと家でとってきたがそんなもので足りるわけはない。高校二年生の男子の食欲を舐めてはいけない。

 ツナマヨおにぎりを紅茶で流し込み、二つ目のおにぎりに手をかけたところで後ろから何者かに背中を勢いよく叩かれ、サヤマは大声を出した。

「早弁大将」 ……サヤマの背後に立っていた二人のうち、メガネの方がニヤニヤしながらもう少し肩を小突いた。二年B組の澤野勝で、これが生徒会の会計係だ。先に背中を叩いたのはノセだった。

「ンだよ、オレの至福の時間をジャマすんな」

「放課後、生徒会室シュウゴウ」

「は? なんで? なんかあったっけ」

「揚ちゃん昭ちゃんがお客様として来るからでーす」

「ウルシノォ? なおのこと何故」

 ノセはサヤマの机の上のレジ袋からガムを取り上げて、勝手に封を切って一つ口に入れた。「トバコーだよ、トバコー」

 それを聞いて、サヤマはやる気のない犬みたいな「ふーん」という声を発しながら、手に持ったままのおにぎりを齧り、了解の意を示すグッドサインを胸の前に掲げてみせた。あまりにも説明性に欠けるコミュニケーションだが、ノセの発した一言だけで、サヤマはどうやらおおかたの筋を把握したらしかった。

 その後、用が済んで教室から出て行く二人を見送りながら、サヤマは一人神妙な顔をしていた。トバコーの不良といえば確かに、心当たりがないでもない。しかしそれがなぜ今になってしゃしゃり出てくるのか、そこが不思議だった。

 自分たちが既に隠居したものと思われて、ナメられているんだろうか?

 そうだとするなら、あまり心象的に穏やかでは、サヤマは鼻で軽くため息をついた。

 ……ところで、ノセはついさっき、揚に向かって「サヤマが昭を呼んでいた」と話したが、この通り、それはまったくデマカセであったということだ。今日に限ったことでもなく、ノセは得てしてそういう男であった。


 放課後になって、生徒会室に入ってきたのは揚と昭の二人だった。

 先に居た三人の二年生がそれぞれ、手を振るなり不明瞭な声を発すなりで迎えた。「揚は何? 付き添い?」とサヤマが訊くと、「弁護人っす」と昭が答えた。

「まあ、そんなに込み入った話がしたいわけじゃなくて……軽い事情聴取だな。昭は、部活は?」

「今日は定休日です」

 昭は弓道部所属だった。弓道部の活動は週に四回、水曜を除いた平日のみである。

 サヤマはソファを指して、座っていいよと顎で促した。ソファにはノセとサワノがお互いにスマホを突き合わせて座っている。ゲームアプリか何かで対戦しているようだった。座っていいよと言われても、このソファは元々二人掛けで、無理に座ってもせいぜい三人がいいところだ。

 揚は無言で、すぐそばのふつうの椅子に腰かけた。仕方ないので昭がソファの隙間に滑り込んで、みちみちになった。

 サヤマは黒板の前に並んでいる机のひとつに掛けている。委員会会議なんかをするときに議長としていつも座る席で、揚はそこを彼の定位置だと認識していた。元々人相の悪いサヤマの吊り上がった狼のような鋭い視線がおもむろに、ソファに掛けた昭の方へと向けられる。「昨日、ケンカしたんだって?」

「ケンカはしてないですよ。だって一発しか殴り返してない」

「でエ! 殴り返したのかよ、お前。肝座ってんなぁ」

 サヤマはさも面白そうにくっくっと笑った。何がおかしいのかと昭は怪訝な顔をした。

「僕が生徒会の奴じゃないのかって話だったんですけど。まあ、人違いだったわけですが」

「てか、そもそもなんで隣町のヤンキーがわざわざこんなとこまでケンカ売りに来るんですか? カツアゲでもなしに」横から揚が口を挟んだ。椅子に逆向きに座って背もたれに腕を乗せて、至極だらしない姿勢をしている。

「交互に喋るなよ、混乱するから……」

 サヤマはスマホを取り出して、画面を昭の方に向けた。

「絡んできたやつらって、こういう制服着てた?」

 映ったのは高校のホームページらしい画面で、緑色のブレザーに青いネクタイの生徒が男女二人ずつ並んでいる。上部には明朝体で「十羽高校」とある。

「あ、これです、この制服でした」

「トバコーじゃん、やっぱ」

 背後から口を挟んだのはノセで、どうやらゲームはもうやめにしたらしかった。その更に後ろから、サワノも画面をのぞき込んで首を捻った。

「今更つっかかってくるようなところかなぁ」

「あそこだってもう、結構キレイになったって話だよ?」

「オレの予想では、直接うちに因縁があるやつらじゃないだろうということになってる」

 二年生はそのまま三人で肩を寄せ合って合議を始めた。ソファの2/3が空いたので席を移った揚は、昭と並んでぽかんとしていた。

 二人は最初から、ずっと何の話をされているのか見当もついていなかった。そのうえで、このまま面倒なことになるのなら勘弁してほしい、と思っているのが昭で、なんかよく分からんけど面白そうだ、と思っているのが揚だった。

 それから、しばらくのち「よし」と言ってサヤマが顔を上げた。そして、得意の営業スマイル(特別生徒会長仕様である)を浮かべ、揚と昭に向かって両手を広げ「ウェルカム」とでも言うような姿勢を取った。

「今日は二人とも、お兄さんたちと一緒に帰ろうか。なっ」

 ニッコリ笑顔でそう言い放ったサヤマに、二人はなおさらぽかんとした。

 ……サヤマという男に対しての共通認識というものがある。それはT梁の高等部の生徒たちの間でおおむねは、いや、ほとんど共有されているものである。生徒会長であるということ、それはもちろん。成績優秀で運動もよくこなし、弁が立つ男であるというのもそうだ。そして、それに加えて最も広く、また分かりやすい認識というのが、「うさんくさい男である」……というところだった。

 サヤマの最もよく見せるこのさわやかな表情は、まさにそのイメージを形作る筆頭とでもいうべき要素であった。要するに笑顔がうさんくさいのである。

 揚と昭はお互いに顔を見合わせて、視線だけで会話するかのようにしばらく固まっていた。が、それから少しの目くばせをしあった後、二人は揃ってサヤマたちの方へ向き直り、先に口を開いたのは昭の方だった。渋い顔をしていた。

「わかりましたけど……その前に説明してくださいよ。なんか理由があるんでしょ? 当事者には説明責任があるでしょ」

「そうですよ、一体どんなおもしろそうな事情を隠してるっていうんです? 教えてくださいよ!」

「分かったって、騒がしいやつらだな」

 サヤマは隣の机に投げ出していたカバンを背負いながら、やや面倒くさそうに眉根を寄せながら頭を掻いた。ノセとサワノも、同じ場所に重なっていた自分たちのカバンをそれぞれ取り、先に教室のドアに手をかけた。扉を開ける前にもう一度サヤマが振り返って、慌ててカバンを取る揚たちに向かって人差し指を広げて見せた。

「答えは単純、オレたちが元ヤンで、向こうはオレたちに追い出された元T梁生だからであーる」

 パチン、と無意味に指を鳴らし、サヤマはそのままノセたちに続いて生徒会室を出て行った。

 部屋に残された二人は、お互いに呆然と口を半開きにしたまま、もう一度顔を見合わせた。

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