亡き祖母を偲ぶ!
崔 梨遙(再)
1話完結:1300字
僕の母方の祖母は、冷たい人でした。祖母と叔母の家は、僕等の家と近かったので、それなりに祖母の家に行ったことがあるのですが、祖母に可愛がってもらえた記憶はありません。“話しかけてくるな!”オーラが出まくっていて、僕は喋ることも少なかったです。気軽に話せる人ではありませんでした。
僕の誕生日、クリスマス、正月には会いました。ですが、僕との会話はほとんどありませんでした。勿論、幼い頃から抱っこされたこともありません。
母に“お婆ちゃん、なんか冷たい気がするんやけど、なんでやろ?”と聞いてみたことがあります。すると、“お婆ちゃんは厳しく育てられたから仕方ないのよ”という返答でした。祖母は、事情があって実の母親ではなく、母親の妹に育てられたらしいのですが、ものすごく厳しい躾だったらしいです。
ちなみに、僕の記憶にある祖母は老いていましたが、若い頃は美人でスタイル抜群だったらしいです。余談ですが、母も美人と言われていました。自分の親が美人かどうかなんてわかりませんでしたが。
やがて、祖母がボケました。僕が見舞いに行った時は、
「孝雄が来た、孝雄が来た」
と言って喜んでいました。孝雄というのは、僕の祖父、祖母の旦那です。僕は祖父に似ているとよく言われていましたが、“孫を忘れるのか?”と思いました。
その後、叔母がほとんど介護をして、祖母は亡くなりました。
祖母はよく色紙に花の絵を描いていました。趣味かと思ったら、仕事でした。祖母の絵はよく売れていたそうです。そういえば、ぼくも小学生の時は毎年絵画で何か受賞していました。受賞できる絵が描けたのは、祖母からの遺伝だったのかもしれません。母は鑑賞するばかりで自分では描きませんでしたが。
ということで、僕の祖母との思い出はほとんど無いのですが、不思議なことに、亡くなると思い出すんです。ふと、絵を描いている祖母の姿が目に浮かびます。いつも目に浮かぶのは、姿勢が良くて背筋もしっかりしていて、凜としたオーラで無言で絵を描き続ける姿です。今なら、僕もいろいろ経験したので、ちゃんとした話が出来るかもしれない、そう思うのです。
父方の祖母についても書きましょうか?
父方の祖母とは、実は1回しか会ったことがありません。どうやら母が父方の親戚を嫌っていたのが原因らしいです。
会ったのは僕が中学3年の夏休みでした。
祖母は僕を見て、
「男前たい!」
と言って、お小遣いを1万円くれました。生まれて初めて僕のことを“男前”と言ってくれたのが祖母でした。“僕の顔は九州ではウケる顔なのかな?”と思いました。
褒めてもらえたので、僕の中で祖母は“良いお婆ちゃん”だったのですが、やがて癌で亡くなりました。印象が良かっただけに残念でした。
まあ、母方も父方も思い出は少ないのですが、やっぱり亡くなると悲しいし、ふと思い出したりします。これが“血の繋がり”というものなのでしょうか? 僕に孫がいて祖父になっていたら、孫から見てどんな祖父になっていたのかな? ということをふと考えたりします。以上、祖母との思い出でした。
亡き祖母を偲ぶ! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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