あとがき

 しょうもない小説、「オムレッツ」をお読みいただきありがとうございます。

この小説は、オムレットというスイーツをみて、ハムレットを想像したことから制作されました。シェイクスピアの4大悲劇が一つ、「ハムレット」は、ハムレット王とその息子のハムレットを取り巻く悲劇を描いたものです。ハムレット王がその弟であるクローディアスに毒殺され、ガートルード王妃を取られてしまうことから始まります。

 今回のお話では、以下のように変換してみました。

  ハムレット王→オムレッツ

  ガートルード王妃→ガードレールおばさん

  クローディアス→苦労ジジス

  ハムレット→曙(あけぼの)

 さらに、ハムレットの中では、クローディアスの罪を証明するために気がおかしくなった真似事をするという内容があります。あけぼのは、店で大暴れしましたね。

 名前に関する話をもう一つ。曙(あけぼの)という名前はハムレットと関係ない名前ですよね。これについては、ハムレット王との名前の混在を避けたいという理由があります。しかしながら、キャラクターの名前というものは往々にして意味を持たせることがあります。あけぼのというワードは、枕草子の春に関する詩で使われている「春はあけぼの」から持ってきています。春は4つに分けられた季節のちょうど一つ目。シェイクスピアの4大悲劇のハムレットは、4つの悲劇のうち、最初に公開されたタイトルになります。今後、4大悲劇から作品を書く際にはこのルールを使おうかと考えています。

 「春はあけぼの」から始まる枕草子の詩では、春は明け方が良いという内容になります。この明け方とは、真っ暗で憂鬱な夜から開けるタイミングともとれるわけです。「オムレッツ」では、主人公の曙(あけぼの)の夜明けについて書かれている描写があります。それは時間帯としての明け方だけでなく、憂鬱な日々からの脱却と彼の使命が得られたことについてです。実は彼には、少年ながら両親がおらず、街中を転々としている、という設定があります。これは、ハムレットの城からの追放とも重なります。そんな、彼にとっての夜が明ける時が苦労ジジスからの提案を受けたときです。皮肉なことに、ハムレットと重なる話であるのに、最後は真逆の展開になります。枕草子パワー強いですね。

 そんなこんなで「ハムレット」と「枕草子」から影響を受けた「オムレッツ」のあとがきとします。コメディ色強めで書きたかったのに、失敗しました。また、次の作品でお会いしましょう。

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オムレッツ @kyodenmoti

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