第3話 蒼天無双突


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 戦いの終わりを告げる静寂が、鳳凰山の麓に広がる。義貞は夜叉丸との激闘で負った傷を振り返りながらも、己の忠義を貫いた証を噛みしめていた。しかし、そこに休息の時間はほとんどなかった。


 その夜、義貞のもとに一人の少年が現れる。彼はどこか義貞を慕うような眼差しを向け、躊躇いながらも一通の文を差し出した。その文には新たな脅威の兆しが書かれていた――「復讐の影が、再び義貞を狙う」と。


 義貞は再び立ち上がることを決意する。彼は、この世に蔓延る闇を断ち切るための戦いがまだ終わっていないことを悟り、新たな仲間を求める旅に出ることにした。



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 その後、義貞は幾多の試練を乗り越え、影縫に対抗する力を持つ者たちを次々と見つけ出していった。中には剣の名手や、術を操る僧侶、さらには闇の力を浄化する聖女など、多彩な人物がいた。彼らと共に、義貞は新たな「忠義の結社」を結成し、影縫の残党に立ち向かう準備を整えた。



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 再び義貞の前に姿を現したのは、影縫の新たな頭領「空禅くうぜん」だった。空禅は夜叉丸を超える強力な闇の術の使い手であり、彼の瞳には冷酷さと共に哀しみが宿っていた。空禅もまた、かつては義貞と同じく仲間を大切にする者だったが、過去の失敗から復讐に生きる道を選んだのだった。


「義貞…お前の忠義が、俺の憎しみを浄化できるか試させてもらおう」


 空禅の言葉に、義貞は深くうなずき、拳を握りしめた。互いに信念をぶつけ合う二人の戦いが、ついに幕を開ける。



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 義貞の忠義の拳と、空禅の復讐の術が激突する。空禅の闇は激しい嵐のように義貞を包み込もうとしたが、義貞は「雷鳴断空拳」と共に拳を振るい、光の力で闇を打ち破っていく。その姿は、かつて義貞が失った仲間たちへの想いが形となって現れたものであった。


 戦いは日が沈むまで続き、やがて義貞の最後の一撃「蒼天無双突そうてんむそうとつ」が空禅を貫く。義貞の拳が触れた瞬間、空禅の闇は薄れ、彼の瞳にはかつての温かい光が戻っていた。



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 空禅は息絶える寸前、義貞に微笑みを浮かべて語った。


「…ありがとう…俺も、いつか忠義の道を歩みたかったよ」


 義貞は空禅の亡骸を抱きしめ、かつての仲間と同じように感謝の念を捧げた。そして彼は、その場で誓った。世の闇を払い、忠義の光をこの世に広めることを。そして、いずれ再び平和が訪れるその日まで、彼の拳は決して休むことはないだろうと。


 こうして義貞の戦いは続いていく――忠義の炎を燃やし、闇の中に希望の光を灯しながら。


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続新田義貞 「忠義の刃、時を超えて」 鷹山トシキ @1982

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