サイダーのように弾けたい

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

透明なガラスに囲まれたテラス席。陽の光が差し込み、淡く光るその空間に、ひとりの女性が静かに腰掛けていた。彼女の手元には、ひんやりと冷たいサイダーの瓶。キラキラと輝く液体が、その瓶の中で小さな泡を立てている。


彼女は瓶を軽く傾け、透明な液体を自分の肌に流し込んだ。冷たい感触が一瞬、彼女を驚かせる。しかし、その冷たさが心地よく、次第に体全体に広がっていくのを感じる。肌に触れたサイダーの泡は、シュワシュワと音を立てながら弾け、甘い香りがほんのりと漂っていた。


「気持ちいい…」


彼女は思わず呟く。その言葉に呼応するかのように、次々と泡が肌の上で踊り、冷たく柔らかな感触が広がる。サイダーが滑り落ちるたびに、彼女の体は徐々に解放されていった。肌を伝う泡の感触は、心の奥底まで届き、そこに隠れていた感覚をゆっくりと引き出していく。


ガラス越しに広がる景色は、まるで異世界のようだった。外の世界は広がっているのに、彼女だけがこの小さな空間で、泡に包まれたまま静かに揺れている。誰にも邪魔されないひとときの中、彼女の意識は徐々に研ぎ澄まされ、ただその感覚に没頭していく。


サイダーの冷たさとシュワシュワと弾ける刺激が、次第に心地よい熱をもたらした。彼女の肌がその冷たさに触れるたび、体の奥底で何かが弾けるような感覚が広がり、ふわりと甘い快楽が生まれる。髪の先からつま先まで、彼女はその感覚に包まれながら、心地よい陶酔の中に沈んでいく。


彼女の体は、まるでサイダーそのものが弾けているかのように微細に震え、泡の一粒一粒が肌を滑るたびに、快楽の波が幾重にも広がっていく。ガラスの向こうにある景色は遠く、ただこの瞬間だけが永遠のように続く。


「もっと…」


彼女は瓶を再び傾け、残ったサイダーを惜しみなく体に注ぐ。その瞬間、泡が一気に弾け、冷たさと熱が交じり合い、彼女の全身を包み込んだ。彼女はその感覚に溺れ、全てを委ねるように目を閉じた。外の世界は静寂に包まれているのに、彼女の中では泡が弾ける音だけが響き続けていた。


最後の一滴が肌を滑り落ちると、彼女は深く息を吐き、静かに目を開けた。ガラスの向こうに広がる風景は、いつもと同じように見えるのに、彼女の内側だけが新しい世界に触れたような感覚があった。サイダーのように弾ける瞬間が、彼女に新たな解放を与えていたのだ。


「サイダーのように弾けたい…」


その言葉は、心の中に静かに響き、泡のように消えていった。しかし、その感覚だけは、彼女の体にしっかりと残っていた。

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サイダーのように弾けたい 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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