第4話 何やら困っているらしい
-side カルム-
「はいそこまでー」
「ギルドマスター」
ギルドマスターと呼ばれた人がアイリスさんとレオンを引き連れてやってきた。黒髪のロングヘアの美人なお姉さんだ。
「君たちがカルムさんに武器依頼を任せたいのは百も承知だよ。ただしそれは、公平な取引をする前提だ。せめてギルドを通してくれなきゃね?直接取引はダメだよ」
その言葉に、他の冒険者は「うっ」といった表情になる。
「それはもちろんです。俺もギルドを通して取引は行うつもりでした」
流石にそこら辺はきちんとしなきゃね。
一応、国で働いていた時も契約書なるものにはしっかりと目を通していた。
まあその契約書自体が俺に圧倒的に不利になるように作られていたのだけれども。
俺も両親や妹が病気という弱みを最近まで握られていたからな。宮廷医師でも治せない病気が、結局病気は自力で治せるようになってた時にはびっくりしたな。
「それじゃあ、この話はここまで。この3人も忙しいから武器を制作して欲しい人は予告が出たら後でカウンターまで来て欲しい。もちろん、本人の意思が重要だから、本人がやりたくないと言ったらやらない」
その言葉にみんな――バッとこちらを見る。
「あはは、大丈夫です。皆さんの武器はしっかりと見る予定ですから」
みんなあからさまにホッとした。まあ、俺もお世話になるギルドには少しでもお役に立ちたいからね。
「というわけでごめん、アイリス、レオン。少し長居させてもらうことになる」
「大丈夫よ」
「それでこそカルムって感じがして面白いから全然いいぜ」
そんな感じで話はまとまった。
「ではこれから3人には指名依頼についてのお話がありますので2階の応接室にご案内いたします」
「はい」
本題スタートだ
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ここのギルドの応接室はまるで貴族の部屋の一室のような豪華さをしていた。さすがはダンジョン都市だ。
経営も順調でギルドも相当お金を持っているのだろう。カリンさんは相当なやり手経営者っぽいな。
「お待たせしました。私がこのメターリアでギルドマスターをしておりますカリンです」
「初めましてカイルです」
「レオンだ」
「アイリスよ」
一通り自己紹介が終わった後に本題に入る。
「それにしても、びっくりしたわ!まさかあなた達がメターリアに来てくれるなんて!」
「俺は前にも来ただろ」
「あたしも前にも来たわ」
「俺は……。申し訳ございません初めてです」
どうやら、俺以外の2人はこの町に来たことがあるどころか、カリンさんと面識があるらしい。
俺だけ来たことない感じで気まずい……。
「つまり、カリンはカルムの事を言っていると」
「そりゃそうよねえ」
「えっ!?オレ!?」
当然と言っているようにアイリスさんとレオンは俺の方を見る。いやいや、たかだかAランク冒険者だし、君に引きこもって道具作ってただけの俺にそんな価値はないだろ……?
「その通り!いくつもの伝説を持っているクラフターカルム!その実力を一眼見ようとしたいのはどこの誰でもそうよね」
「えっ!?」
「特にカルムは規則もあって、今まで自由に国外の人が交流されることを禁止していたからなー、この機会に関わりを持ちたい奴はおおいだろ」
「はっ……!?」
そんな話聞いた事ない。
「驚いたか、カルム。お前は他国で相当評価されていると言うことは知っておいた方がいい。下手なやつに利用されたら困るからな」
「そうね、まあ、当面はあたしたちが面倒を見るから、その間に覚えればいいわ」
「あっ……ありがとう」
まさか、俺の評価が他国でそんな事になっているなんて夢にも思わなかった。ずっと、自国で必死に働くしか無かったからだ。
どう受け入れたらいいか分からないが今はとりあえずあまり考えないようにしよう。
「それで、カリン。ここに呼び出したのは何か理由があるのよね」
俺が驚いて放心していると、アイリスさんは本題に入る。
「そう、結構重い話題になるわ」
――ゴクリッ
その言葉に場が緊張に包まれる。
「あなた達にはメタルダンジョンのスタンピートの調査をして欲しいのよ。近々起こる兆候が出ているわ。大物がダンジョン内に侵入した可能性があるの」
流石はSランク。すごい依頼をギルマスもよこすものだ。
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神話の森に移住した伝説的なクラフター〜追放悪役令息と精霊さんのチートで怠惰な世界樹ダンジョン菜園〜 西園寺わかば @book_hobby
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