第6話 時を告げる余命一年
その後、三ヶ月の時が流れた。魔女のアズチは願いを叶えたと突然言って旅立ってしまった。
そして、私は一枚の油絵を仕上げていた。
題名は『ひまわりを描く少女』である。
アズチが撮ってくれた画像を元に描いた自画像だ。題名の通り油絵を活き活きと描いている少女の絵だ。
それから私は闘病生活に入る事になる。
そう、アズチから言われた余命一年が近づいてきたのだ。
心臓の病気でどうとかと言われた。簡単に言えば死ぬのである。
確かに自覚症状はあった。しかし、両親の海外勤務でうやむやになっていた。
しかも、私の病を知りつつ両親は帰ってこなかった。
これは孤独死するパターンかと思ったが流石に入院はできた。
それからしばらくして死期となり安楽死を向かえる事となる。
———……。
「お母さん、君の知り合いのアズチと言う者です」
「君とは私の娘の事?」
「はい、生憎人名が覚えられないので」
「そう、貴女がアズチなのね、娘のスマホに残っていたわ」
私は庭先で君のお母さんと雑談していた。
「この私蔵品である『ひまわりを描く少女』の油絵が県立美術館の方が欲しいと言ってきてね、迷っているの」
「あの絵は神の一枚です。いずれはロンドンでオークションとなるでしょう。でも、私蔵のままでいる方が素敵です」
「まぁ、変わった方、ホントに娘の友達らしいわ」
「時間は有りますゆっくりと考えて下さい」
「ありがと……」
「私も旅の途中でした、この辺でサヨナラです」
描かれる奇跡はこれでお終いです。神の一枚になった『ひまわりを描く少女』は遅かれ早かれロンドン行きです。
君のお母さんには少しでも君の描いた絵と一緒に居て欲しかった。
さて、次の街に出発です。
月夜の魔女 霜花 桔梗 @myosotis2
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