第4話



 あれからすぐに自宅へと帰ったやまとは寝室でステータスを確認していた。



 白咲 やまと

 Lv0(封印状態)


 スキル

 振り分け(30)


 総合力 726

 力 (140)

 器用 (111)

 耐久 (100)

 敏捷 (130)

 知力 (105)

 精神力 (140)



 称号

 下級下位天




 見るのは二度目だけどやっぱ普通のと違うな。

 本来であれば総合力のみの記載なのに細かくステータスがある。

 それに称号欄にもよくわからない称号がついてる。


「とりあえず…これタップして詳細って出たりしない?気になってしょうがないんだけど」


 一応ネットで総合力について調べはしたが、出てきたのは全部憶測だけだった。


 ーー総合力というのはその人の運動能力や知識を足したものでは?

 ーーおそらく魔力のような今までになかったものもこれには含まれているのでは?

 ーー純粋な強さとか。

 ーースキルの強さかも。


「はい全部違いますぅー、6項目に分かれてるんですぅー」


 力っていうのはたぶん筋力的なもので、器用はそのままの意味。魔法を使う場合とか当たりやすくなるとみた。耐久は…物理と魔法どっちもかな?敏捷は言うまでもないし、知力はたぶんスキルの威力に関係するんじゃないか?んで精神力は精神力。


「絶対あってる。というか、力が40上がってるのは魔物をいっぱい殺したからで、敏捷はお宝のためにクソほど走ったから上がったんだろ。精神力は言うまでもないけど、あえて言うとしたら呪言をくらったからだろ。知らんけど」



 二度としたくない経験だけどあいつのおかげで総合力の理解が深まった。

 あとはこの振り分けポイントと称号だが…


「おっ?この二つはなんか理解できるな?」


 頭の中にもともとあった記憶ってぐらいすんなりと言葉が出てくる。


 振り分け

 下級下位天の補助スキル。

 この称号を持つ者は各項目にポイントの付与が可能。なお、一度付与したポイントは元に戻らない。


 下級下位天

 世界を統べる天の見習い。下級中位天になるには天に認めてもらわなければならない。

 魔物撃破時、各項目にランダムでポイントを付与(1〜10)

 魔物撃破時、稀にポイントを獲得



「…本来レベルが上がると総合力も上がるようになってるけど俺はレベル封印されてるから総合力も上がらない。けど上がるようにしてくれたのは…ごめんねの気持ちの菓子折り的な?これつまらないものですがって言って渡す感じでこれ貰ったんかな?」


 一応総合力の各項目を見る感じこれを上げていけばまじで強くなれる。

 しかも俺は任意でどれかを伸ばすことができるし、天の称号でランダムでも増える。

 ふむふむ。


「もしかしてもしかしなくても、スーパー菓子折りもらっちまったんじゃねぇかこれ…っ!」


 さっきの考察…精神力が女のおかげで上がったわけじゃなかったけど!

 魔物を倒すと?

 そいつの総合力を稀に吸収できて?それがたぶん振り分けの横にある30ポイントだろ?

 なおかつランダムで1〜10ポイント、ステータスが上がる!?


「やばすぎんだろ!?なんでこんないいもんくれたんだ!?」


 日常で人に褒められるようなことは全くしてないし、なんなら最低なことばっかしてる。

 今日だってあいつらにアイテム渡さないようにしたしな。


「ちょっとはいいことしてみるか?天に認められると称号がグレードアップするんだろ?天が誰だか知らないけど…明日から毎日D塔行けばなんか変わるだろ」


 そうと決まれば!

 今日は早く寝るぞ!んで、明日は検証の日にする!


「くくくくっ!レベル0のゴミだと?絶対にてめぇらより強くなって、え?このパンチ見えなかったの?って言ってやるんだふははは!」


 俺様最強ムーブの始まりだ!


 結局この夜、復讐方法を考えすぎて一睡もできず、翌日の昼に起きたやまとだった。




 世の中にはDランキングというものが存在する。

 これは探索者のレベルと登った塔の階数の二つがあり、一つ目の探索者レベルランキング1位は脅威の1332レベルである。

 そして塔を登った階数はこの1位の人のパーティが64階でトップだ。


 ネットやテレビでよく流れるが、レベル1000越えは化け物じみた強さをしており、ほぼ災害と言っていい。そんな彼らはD災(D塔から魔物が溢れる災害)を押さえれる力があり、世界中の人々のスターだ。


 ほとんどが国に属し、手厚い待遇で毎日エンジョイしてるわけだが、俺の計算だとあと一年ほどでそこにぐいっと入れるかもしれない。


 ワンチャン、高級な服着てサングラスつけたイケメン(俺)が赤い絨毯を優雅に歩いてるかもしれない。

 そして両隣には花。


「いやぁもうっ!まいっちゃうねぇ!サイン考えとかねぇと!」


 周囲の視線などもはや気にならない。

 今は奇怪なものを見るような目で見られてるけど一年後には目が♡になってるはずだ。


「よしっ!とりあえず魔物を倒してみるか」


 まずは歩いてたゴブリンをサクッと殺して、ステータスを確認する。




 白咲 やまと

 Lv1(封印状態)


 スキル

 振り分け(31)


 総合力 728

 力 (140)

 器用 (111)

 耐久 (101)

 敏捷 (130)

 知力 (105)

 精神力 (140)


 称号

 下級下位天



「……いきなり最低値引いたわ。ゴブリン一体倒して振り分けと耐久が共に1っと。もっかい倒してみるか」


 D塔は直径500mほどの塔で高さは雲を突き抜けているが内部はもっと広い。

 時空が歪んでるのか、地球とは別の次元にあるのか、研究は続いているが不明なことが多く、一階層だけでも壁から壁まで10キロほどある。

 それは二階層も同じで、もっと上に行くとさらに広くなったりするそう。

 だから意外とここは人がかなりの量入れる作りになっており、そのためか魔物も結構いるところにはいる。


 ゴブリンは一体〜三体でいることが多く、そこらへん適当に歩いてればエンカウントするから、ザ初心者用の魔物って感じなのだ。

 そしてやまとの前にもちょうど茂みから三体のゴブリンが出て来た。


「前は不意打ちで首折ってたけど、今はちゃんと戦えるかな?まずは力を試すか」


 存在に気づいて棍棒を振りかざすゴブリンにただの顔面パンチをお見舞いする。



 ボコっ


 先頭にいたゴブリンの鼻は見事に陥没し、後ろの二体を巻き込んで倒れた。


「ふむふむ。手はちょっと痛いけどパンチで小学生ぐらいの体なら吹き飛ばせちゃうのか。蹴りはもっと強いかな?」


 地面に倒れているゴブリンをボールを蹴る要領で蹴飛ばすと…軽すぎて三体同時に吹っ飛ばしてしまった。


「…十分超人っぽい」


 あまり苦労せず総合力が上がっていってるのがなんか申し訳ない。


「なんかゴブリンといえど痛ぶってるみたいでいい気はしないな。すぐ楽にしてあげるから…」


 いつものように首を折って成仏してもらい、ステータスをチェックする。



 白咲 やまと

 Lv1(封印状態)


 スキル

 振り分け(32)


 総合力 744

 力 (145)

 器用 (111)

 耐久 (111)

 敏捷 (130)

 知力 (105)

 精神力 (140)


 称号

 下級下位天



「振り分けはちょっと渋いな。ゴブリンが弱いから?ランダムステは16上がったな。一体5ぐらいずつか。ちょっとだけ上振れたな」


 もし一体倒して2しか上がらなくても1日100匹で200は確実に上がる。

 1ヶ月続ければだいたい6000もステータスが上がる。


 ただ、総合力は誰も関心を向けないものだからみんながどれくらいかわからないんだよな。

 それに俺以外はみんなスキルを一つ以上持ってるから俺の方が全然弱いなんてこともあるだろうし。


「とりあえず…1日中狩ってステータス伸ばせばいいか」


 わからないことは全部後回し。

 スキルもいずれは手に入るだろうし、今は資金稼ぎとポイント稼ぎだ!



「ぶるって待ってろ魔物ども!未来の覇王が通るぞ!」


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2024年12月17日 08:00
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