病院の待ち時間、どう過ごすのか?

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

病院に通うとき、誰しもが避けられないものがある。それは待ち時間だ。診察の時間はあらかじめ決まっているものの、実際にはその時間どおりに進むことは稀だ。急患が入ったり、診察が予想以上に長引いたりと、病院のシステムには様々な要因が絡んでいるため、待たされるのは仕方のないことだとは理解している。しかし、それでも待合室で長時間座っていると、どうしても「長いなぁ」と感じてしまう。


私の場合、通院時の待ち時間は平均して30分から1時間ほど。時にはもっと長く待たされることもある。この時間、何もせずに座っていると、どうしても時間が無駄に過ぎてしまうように感じて、イライラすることがある。スマホをいじることはできるが、限界があり、ただ眺めているだけでは気持ちは晴れない。SNSを見ても、同じような投稿やニュースばかりで、どこか消耗しているような感覚に襲われることもある。だからこそ、待ち時間をどのように有意義に過ごすかを考えることが大切だと感じるようになった。


待ち時間の過ごし方 その1:読書


待ち時間を有意義に過ごすために、まず私が取り入れたのは「読書」だ。病院に行く前に、必ず本を一冊持っていく。電子書籍も便利だが、私はやはり紙の本の方が落ち着くので、カバンの中には常に文庫本を忍ばせている。待ち時間が長くなればなるほど、読み進めるページ数が増えるため、逆に「もっと待たされてもいい」と思うようになることさえある。読書の良いところは、単に時間を潰すだけでなく、知識を深めたり、想像力を働かせたりと、頭を使う活動ができる点だ。待ち時間が勉強や趣味の時間に変わるので、ストレスも軽減される。


病院の待合室という静かな環境は、読書に最適だ。人々が病気や診察に集中しているせいか、無駄な会話も少なく、静寂が保たれている。この静かな空間で本を読むと、普段の忙しさから解放され、心が落ち着く。特に自己啓発書やフィクションの物語を読むと、時間を忘れて物語に没入できるので、待ち時間もあっという間に感じられる。


待ち時間の過ごし方 その2:ノートに感情を書き出す


読書以外にも、待ち時間を有意義に過ごす方法として「感情をノートに書き出す」ことを試している。普段、日々の生活の中で自分の感情に向き合う時間を持つことは少ない。特に、忙しい日々を過ごしていると、感情を無視したり、後回しにしてしまいがちだ。しかし、病院の待ち時間というのは、一種の強制的な「待機時間」なので、この時間を使って自分の内面と向き合うことにしている。


ノートを開き、今自分が感じていること、悩んでいること、ストレスを感じていることなど、頭に浮かぶままに書き出していく。書くことで、自分が何に不満を抱いているのか、何がストレスの原因なのかが明確になり、それを客観的に捉えられるようになる。また、書くことで頭の中が整理され、気持ちが軽くなるという効果もある。


感情を書き出すことのもう一つの利点は、病院という特殊な環境が、心の中のモヤモヤを引き出す助けになるという点だ。病気や体調不良で病院に来ているとき、人は普段以上に自分の健康や生活について考えることが多い。そのため、普段は気づかないような不安や心配が表面化しやすい。このタイミングで感情を書き出すことで、日常生活で抱えている問題や、気づかなかった感情に気づくことができる。


待ち時間の過ごし方 その3:瞑想や深呼吸


病院での待ち時間は、静かで落ち着いた環境が整っているため、瞑想や深呼吸の時間に使うのも良い方法だ。瞑想は特別な場所や道具を必要とせず、座って目を閉じ、呼吸に集中するだけでできる。病院の待合室の椅子に座り、周りの雑音を気にせず、自分の呼吸に意識を向けていく。このシンプルな行為が、ストレスを軽減し、心をリセットしてくれる効果がある。


特に深呼吸は、緊張や不安を和らげるのに即効性があり、病院という少し不安な場所では効果的だ。息をゆっくり吸い込み、長く吐き出すことで、体全体がリラックスし、心が落ち着いてくる。病院で待っている間に、つい体が緊張してしまうことがあるが、この深呼吸を取り入れることで、体のこわばりや不安感を解消できるのだ。


待ち時間の過ごし方 その4:周りの人に目を向ける


病院の待合室では、様々な人が同じ空間で時間を過ごしている。それぞれが異なる理由で来院しているが、誰もが健康や体調に関する何かしらの問題を抱えている。その中で、ふと周りの人々に目を向けてみると、日常生活では気づかないような他人の状況や感情に触れることができる。


例えば、高齢者がゆっくりと歩いている姿や、子どもを心配する親の表情を見ていると、自分の悩みや不安が相対的に小さく感じられることもある。他者の存在を意識することで、自分だけが大変なのではないということを再認識し、感謝や共感の気持ちが芽生えることもある。こうした気持ちは、待ち時間のイライラを軽減し、心を穏やかにしてくれる。


結論


病院の待ち時間は、誰にとっても避けがたいものであり、時にはストレスや退屈を感じるものだ。しかし、ただ何もしないで時間を過ごすのではなく、自分なりの工夫を凝らして過ごすことで、待ち時間は有意義なものに変えることができる。読書やノートへの感情の書き出し、瞑想や深呼吸、さらには周りの人々に目を向けることによって、待ち時間は単なる「待ち時間」ではなく、自己成長やリフレッシュのための貴重な時間になる。


私自身、病院の待ち時間を工夫して過ごすことで、時間を無駄にしているという感覚が薄れ、イライラも減少した。これからも、待ち時間をポジティブに捉え、より良い過ごし方を見つけていきたい。

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