La Fin
-1-
いつの間にやら夜の支配者による
あまねく光は二人を優しく見下ろしながら淡く照らし出し、祝福を授けるように降り注いでいる。静寂な湖と森に囲まれたこの地には遮るものは何もなく、一心に頭上に頂く。
しかし、静寂な憩いはレヴェの声によって身を潜める。
「本当に綺麗だね」
「そうだな」
「今までで一番長い一時だった」
「…………そうだな」
この優しい一時も夜が明ければ刃を向けることになるが、今の二人にはこの上ない幸福でもあった。
「モンド」
「ん、何?」
「愛してるよ」
「俺も愛してる」
互いにどちらともなく軽く口づけを交わすと門へと身を任せるように寝転んだ。
交わる眼差しは一心に愛を注ぎ続け、離れることの無い繋がりを感じていられる。これはきっと絶望の中に見つけた光を手に入れられたからだろう。
レヴェは身を起こすとモンドへと更に口づけを落とす。そして離れた唇は名残惜しそうに艶めき、瞳には愛する人を映し出す。
モンドの優しい手が頬へと触れると重ね合わせるように手を添えた。
「レヴェ……」
「…………うん」
頷くと天へと左手を伸ばし、輝く光と共に鋭利に煌めく短刀が形作り現れる。
「いつまでも一緒だよね」
「いつまでも一緒だ」
レヴェは煌めく
「愛してるよ、いつまでも」
「俺も愛してる」
二人の口づけと共に輝く光が空を流れた。そして、鮮やかな光と共に世界に優しく亀裂が入ると崩壊していき光と共に闇へと身を任せた。
深い愛が生み出した幕引きの最後には二人の笑みが優しく添えられる。
その時、一つの詩が微かに流れたような気がするのは一つの奇跡と呼んでもいいだろうか。
二人の想いは一つとなり
こうして、
筆は下ろされ書物は静かに閉じられると
『
~Fin~
Un Livre du Destin Frawr @CielA4
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます