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レヴェは悲しみの灯る涙を溢れさせた。
「また……君の死を見届けないといけないの……」
「レヴェにしか出来ない」
「そんなの……嫌だっ!そんな景色は二度と見たくないっ!」
レヴェは張り裂けそうなほど声を荒げた。
二度とモンドが死す瞬間を見届けないために時を止めていたレヴェにとっては、この上ない無慈悲な現実だった。共にいたい一心でこの残酷な運命を受け入れていた心には耐えがたい苦痛であり、光を受け入れることの無い絶望の花を咲かせるものだ。
何故、二人は共にいることを許されないのだろうか?
何故、語り部はこのような生を授けたのだろうか?
何故、二人はこのような形で出会ってしまったのだろうか?
悲しみに絶望するレヴェにはモンドの声さえ届いていなかった。
「レヴェ」
「嫌だっ!モンドを殺すことなんて出来ない!俺はただ一緒にいたいだけなんだっ!」
「レヴェ」
「何でっ!何でこんな世界で君と出会ったんだっ!何で幸せな形で出会わせてくれなかったん、」
再度、優しい口づけを落とされ発言権を失うと温もりのある胸へと引き寄せられる。全てを受け入れる暖かさに落ち着きを取り戻すと止めどない涙が更に溢れ、大地へと還り悲しみの波紋となって描かれていく。
「レヴェ、お前をこの
「………………」
「いつまでも一緒にいよう」
「………………本当に……? 」
レヴェの瞳は光にすがるように揺れており、視界からモンドを永遠に映そうとまっすぐに見つめる。
そんな眼差しに同じく交差させるモンドは、どこまでも優しげな微笑を浮かべた。
「いつまでも一緒だ」
「……………うん」
「愛してるよ、レヴェ」
「俺も愛してる、モンド」
二人は互いに引き寄せ会うと口づけを交わす。
何処までも温かく、何処までも繋がりを得た愛は最後の別れを惜しむかのように絡み合う。深い口づけは互いを求め合いながらもゆっくりと離れる。交わる瞳は悲しみの色を残しながらも解放への世界を映し出していた。
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