1000字掌編・『C・A・T』
夢美瑠瑠
第1話
(これは、pixiv の、「猫まみれ2024コンテスト・1000字小説」用に、今日、書き下ろして応募した作品です)
掌編猫小説・『C・A・T』
『※ あなたの家の猫ちゃんの「写真」、「イラスト」、「紹介文」を募集します。 株式会社 C・A・T』
…という広告が、購読してる全国紙の一面の隅に掲載されていた。
「ナンダロ?説明もないし、TEL番号が書いてあるだけだ。シーエーティー? キャットフードの会社かな?」
アタシのうちにはかわいいアメショの女の子がいるから、こういう「ネコのコンテスト」みたいなのには片っ端から応募している。
すごくいい猫なので、人気もあって、たいてい入賞して、キャットフードを一年分もらったりもする。
YouTubeとかTikTokでも、猫の動画でアクセスを稼いだりして、結構な収入になる。
とうとう貯金で別荘を買ったりして、みんなから「猫御殿」と陰口を言われたりもする。猫様様の私なのです。
「美香、おまえはほんとにかわいい美猫だねえ。チュールをまいにち食べさせてやりたいから、またひと稼ぎするかね?協力してね」
ビロードみたいな美しい毛並みに、ロールパンみたいな縞模様のある”美香”の顎の下を撫でてやると、愛くるしい牝猫は、ゴロゴロと遠雷のようにのどを鳴らした。
…その会社に電話した。
「もしもし?シーエーティーさん? 今日の朝刊観たんですけど? どうやって応募するんですか?」
「ありがとうございます。猫の飼い主さんですか? 広告の端にQRコードが印刷してあって…」
応募要綱については、そのごちゃごちゃした正方形の模様の翻訳をスマホがしてくれた。
「…われわれは猫の疫学調査をしている機関だ。できるだけ多くの猫についてのデータを収集している。あらゆるメディアや情報機関の情報網を通じて、大規模な調査活動を行い、研究に活用しており、このキャンペーンはその一環である… …」
「あら?ものものしいわね。疫学調査?なんのことかしら?」
ずらずら長い文章が続いていて、読むのが大変だったが、どうやら、”人々に人気のある猫の特徴とは何か?”ということを統計調査して探ろうとしているらしいことがどうにか読み取れた。
疲れたので、 ずーと最後のほうを読んで
「で、最終的な目的をかいつまんで申し上げれば、これは必ずしも周知される必要はないのだが、”ハローキティ”というサンリオの人気キャラの”ボーイフレンド”を、作成することになって、我々にそのための下調べをせよ、そういう指令が下ったわけである。
どうかこの目的のための調査についてご協力いただきたく思っている。ふるって賛同、参加いただきたい」
「なーるほど!そういう趣旨の調査?キティちゃんの恋人?さもありなん!だけど、会社名は何の略なんかな?」
…ちょっと興味を惹かれて、最後のほうを見直すと、こうあった。
…「株式会社・Character Authorised Thinktank 」
1000字掌編・『C・A・T』 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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