新居

理科の授業中

月の魔法使いのことを考えてた

「この街にいるなら…このクラスの中の人物の可能性が高いよね…」

犯人は必ず仲良しを狙うわけであり、自身の事を深く知る事のできる者ではないと不自然なわけである

「あ・ま・み・や・さ~ん?」

「明萌璃、呼ばれてるよ…!」

隣の席の命の声にはっ!と顔を上げると少しキレそうな理科担当 兼 このクラスの担任の伊藤いとう 杉村すぎむら先生とその他の生徒達がこちらを見ていた。

「す、すみ、ません…」

あまりの恥ずかしさにうつむきがちに席を立つ

「あまり、授業に関係ないことは考えないようにね。

ここのページ読んでくれないかな?」

そう、指定されたのは「日食と月食」についてだった

「っ…」

すらすらすらと、読み終え

少し内容が進んだところで授業が終わった

その後、私は自分が読んだページをマーカーで引き、線を引いた

「明萌璃一緒に帰ろ~

って…なに読んでんの?」

帰りの支度が終わり下校に誘ってきた命が理科の教科書とにらめっこする私を不思議そうに見詰めた

「…日食と月食…についてのところ…」

「あぁ、例のことかぁ~

なんか、関係あったりするのかな…?

今日帰って、晴海に聞こうよ!」

そこで自身の家が燃やされたことを思い出した

「荷物とかどうしよ…」

少し大きいため息をついてから席を立ち上がる

「まぁ、後の事は後で考えようよ

晴海の家、すごいんだから!」

にこっと笑って、とっくに皆出ていった廊下を二人で行き

学校の外にあった黒い車にノックする

「あ、遅いじゃない

やっと帰ってきたのね」

誰かと連絡してたのか、ノックしてから私たちの存在に気付き

後ろのドアを開けてくれ

中にはいる

「ごめん!明萌璃がなんか理科について悩んでて」

軽く、命が説明してくれて

私も入ったところで車が出る

「へぇ…勉強熱心な事

何に悩んでたの?

わからないところがあったら教えるわよ」

運転中だから、顔は見えないが声から上機嫌なことが分かる

「その…今日授業で『日食と月食』についてやったんです

それで、魔法について思い出して…もして、なんか、関係があるのかな…って」

と無意識にもじもじ、としながら言って

「…関係ないとは、言えないわよ」

「ほんとですか?!じゃあ、私それについて聞きたいです…!」

ぱぁ、と明るく聞き返してしまう

「…『月食』はあんたにはまだ

発動できない技ね」

と、信号に引っ掛かり車が止まる

「なんでですか…?」

不思議に思いながら問いかける

「それはね、兄を沈めるために姫様が使った

最終奥義が『月食』だからよ」

「えっ?!」

そこで、信号が変わり車が再び動き出す

「じゃあ、『日食』は?」

「もしかしてそれも…月の魔法使いの最終奥義なんじゃ…」

悪い予感がして命と二人で答えを出しあう

「ぴんぽーん大正解!お見事よ二人とも」

にこっと、ルームミラーから笑顔が見えた

「朝も話した通り、月と太陽は同時に存在しちゃいけないのよ…

実際現実の日食や月食だって、数十年に一度しかないんだから

それに…」

そこからは声が小さいのと、回りの騒音で良く聞こえなかった

「え、な、なん、て…」

「わぁ!綺麗な森!」

が、いきなり景色が変わったのか命が楽しそうな声を上げたので私もそっちを見る

「ん…?

って、ここ、どこですか?!」

私が慌ててキョロキョロし始めると、晴海さんも命も説明する間もなく、景色が変わる

「ご、豪邸…!!!」

そこにあったのは、フランスにありそうな洋風の大豪邸だった

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月食 りーちゃん @ri-tyan

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