2024/10/25 華金じゃれ禍リベンジ、の回『放棄する物件』
小学生くらいの時の話。
近所で有名な廃墟があった。見た目は洋館といった二階建ての戸建てで。そこはいわゆる想像するような廃墟然とはなっておらず、今でも人が住んでるんじゃないか? と思えるくらい奇麗だった。
「そこに入ってみようぜ!」とガキ大将のBくんが言いはじめて誰も逆らえず数人でその廃墟に入ることになった。
なぜか鍵は開いており、ギィ…とドアを開くと見える範囲に家具など無いのに玄関には靴が置いてあった。
革靴と、子供の靴と、ヒールのある靴だ。普段先生が言うみたい並べられていて、どれもそんなに古くない。
「お父さんとお母さん……子供?」一人の呟きに、ガキ大将含め全員が黙る。ここは廃墟だ。そんな訳ない。
その時、家の奥、二階、廊下の先の部屋という部屋から
「子供はいないよぉ」と、老若男女入り混じった明らかに靴の数より多い人数の声がした。
逃げだした僕たちは、やれ財布だ靴下だ、投げ出してしまっていたのだ。
執筆順:芝生/薄暗/花豆/芝生(芝生以外敬称略)
【じゃれ禍】じゃれ本で怖い話を作りましょうよ 芝生 @shibuff123
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