1.同僚【赤】
はい、皆さん。こんにちは。部署異動するこ上司とになった
しかも、部署どこにあんだよ。地図渡されたけどそもそも
《神界:神や天使が住まう人間の住む世界とは隔絶した空間。この空間は色んな施設を導入し、死者を管理するスペースを取った結果、広さは凡そ北海道全域。入り組み具合は東京駅並になっているのである。》
神曰く『小さくて白い、窓がない豆腐みたいな建物』らしいが、そんなものねぇぞ?頑張って羽をパタパタさせてはや3時間。そろそろ疲れてきたんだが。……おっ、もしかしてあの建物か?
見下ろすと特徴に合致した豆腐建築の建物が姿を現した。マジであの神に騙されたのかと思った。流石にあの神もそこまで鬼畜じゃなかったようだな。
じゃ、お邪魔しまーす。玄関から建物へと入ると、中は閑散としており、蜘蛛の巣が張られている。掃除するヤツ居ないのかよ!
……俺こんなとこで働くの?前の綺麗なオフィスに帰してよ!こんなのあんまりだわ!と心の中で不満を垂れていると……
「そこのお前、誰だ?」
俺の訪問に気がついたようで、ここの部署の人が見に来たようだ。
俺の視界に入ってきたその人物は、ボサボサな紅い髪を腰まで伸ばした、まともに風呂に入れていないのが分かるくらいに悪臭を放つ女性。目も荒んでるし、俺たち天使の象徴である羽もボロボロだ。
この瞬間、俺は察した。ここが過酷な労働環境であると。
「あっ、僕はこの部署に異動することになった者です。新人なので手ほどきよろしくお願いします」
「……新人?……あぁ、神が送るって言ってた最後の一人か。……それにしてもこんなヤツで大丈夫なのか?」
「あのすっごい聞こえてるんで。懐疑的な意見とかは心の内に秘めてもらえると助かります」
「すまん。つい口に出てしまうんだ。……まぁ、この部署は私を含めて5人ほどしかいない。そしてお前が加わったことで6人となった」
……ってことは、特殊な力を貰った人間は全部で6人ってことで良さそうだな。天の声が一人一人を担当してるなら恐らくそういうことだろう。
「はい。じゃあ他の4名の方にも挨拶を」
「いや、やめとけ。今アイツらは仕事中でピリついてる。邪魔したら殴られるか、酷い暴言吐かれるぞ。……ちなみに私も仕事中に話しかけられたら同じことをする」
……えぇ?仲悪い感じ?職場の人間関係の悪化はトラブルの元ってそれ1番よく言われてるから。
「あっ、誤解するな。決して仲が悪い訳じゃないぞ?……ご飯とか一緒に食べるし、世間話する時は普通……いや、そうでもないか?まぁ、基本的には良いヤツらだが仕事が絡むとおかしくなるからそっとしておいてやれ」
「あっ、はーい」
「それじゃあ、仕事現場に案内するから着いてこい。言っておくが、私もあまり時間が無いから手短に済ませるぞ」
「あっ、はい……えーっと、あのぉ、なんて呼べば良いでしょうか?」
「名前?……そんなもの適当で良いだろう。私は【90番】それ以外の何者でもない。呼び方は勝手にしろ」
そう言い放つ彼女。……90番かー、面倒臭いからあだ名付けるか。赤毛が特徴的だから【
ルベルさんの後ろを着いていくと、多くの機械に囲まれた部屋へとたどり着いた。部屋の真ん中にはデスクとパソコンやモニター、それにマイク。
「おいお前。そこに座れ」
「あっ、はい。座りました」
「ならパソコンを起動しろ。起動出来たら下のタスクバーにある3つのアイコンの左をクリックしろ。あとはゲームのチュートリアルみたいに説明が入るからその指示に従え。これで説明は終わりだ」
「えっ?他になんかないんですか?」
「あぁ、あとは1人で頑張れ。……あっ、言い忘れてた。こまめに休憩取れよ。じゃないと頭おかしくなるぞ」
そう言い残すと彼女は部屋から出ていった。……いや、窓もないこんな薄暗い部屋で1人な時点でもうだいぶ心やられそうだけどね。
「……はぁぁ……切り替えていけ……よし、やるか」
俺はさっきの指示通り左のアイコンをクリックし、アプリを開く。すると……
《勇者育成論 起動完了》
という文字がでかでかとモニターに現れる。……勇者育成論……このアプリの名前か?まぁ、大して気にすることでもないな。……ってかローディング長ぇよ。早くしろ。そんな感じで若干の苛立ちを覚えながらしばらく待っていると……
『やぁやぁ元気かな?』
モニターに
思わずモニターを拳が貫きそうになるが、慌てて静止する。鎮まれ俺の右拳。お前の気持ちは十分分かるが今は落ち着け。所詮はプログラム……殴ったところで気持ちは晴れないだろう。
『これを開いたということは無事にここに到着したようだね。感心感心。よく逃げなかったね』
逃げたらバレるし、バレた瞬間、マリオネットにされるからな!逃げたくても逃げれねぇんだよ!
『それじゃあ早速、君にやるべきことを伝えようか。これから君には世界を救ってもらうよ』
〜天使の勇者育成論〜世界が危機に陥ったので天の声になりました @DDDmod3
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