〜天使の勇者育成論〜世界が危機に陥ったので天の声になりました
@DDDmod3
0.プロローグ
神々の領域【神界】数多の天使と複数の神が住んでいる人の世とは隔絶された世界。その世界の中心に、悠然とそびえ立つ城があり、その城内の一室で、一人の神と一人の天使が対面していた。
「774番。今日から、天の声部署に異動ね」
「……はい?」
沈黙を切り裂くかのように投げかけられた言葉は部署異動の伝達であった。
今、神が口にした【774番】とは俺のことだ。文字通り数多いる天使の中で774番目に生まれた、未だ名すらないしがない天使。
そんな俺が何故、神と一対一で話し合うような状況下に置かれているのか。正直俺もよく分かっていない。
俺はいつも通り、死者の魂を管理する仕事をしていたのだが、急に我が
俺の目の前には金色の装飾が施された玉座になんとも生意気そうな少年が座っている。
吸い込まれそうな程に美しい宝石のような蒼い瞳、艶やかでふわりと風になびく耳にかかる程度の白髪、あどけなさを残しつつも、どこか色っぽい顔つき。
少年の姿だというのに目の前の存在は、周囲に自身を神だと自覚させるに十分な要素を持ち合わせている。
「お待ちくださいアルバス様。2点ほど質問があるのですがよろしいでしょうか?」
俺は無礼のないように慣れない敬語を使いながら、感じている疑問をアルバスに投げかける。
「いいよ、発言を許そう」
「まず、天の声部署とはなんでしょうか?」
「あぁ、それね。君も知っての通り、僕たち神は世界を管理してるわけじゃん?生命を創造したり、破壊したり。恩恵を与えたり、奪ったり」
神は常日頃から世界を俯瞰して見て、バランスが崩れないように管理している。それが神に与えられた役割だから。
「はい、それは理解してるのですが。結局天の声部署とは?」
「まぁ、焦るな。ここからが本題だ。……まず、ウチが管理してる世界に生命全ての驚異となり得る化け物が誕生した。この前天使に伝えたろう?」
「……あぁ【
実力は限りなく神に近い。しかし、出現経緯や素性は不明、神達の見解では世界のバグでたまたま生まれてしまったモノ。という認識である。
「そうそうソイツ。結論から言うとソイツを排除したいのよ。ほらっ、アレって全生物に敵意持ってるっぽいし。おかげで人間の主要的な都市ほぼ壊されてポストアポカリプスと化してるからね」
「あ〜、確かに映像見ましたけど、手当り次第に目に映るものを破壊してましたもんね。人間がミンチになってる様とか見ててドン引きしましたもん」
挽き肉ってあーやって作るんだなと。血(ケッチャプ)も飛び散ってたしな。やったことだけ見るなら人間でハンバーグ作ってるような感じ。
「しかも僕たち神が直接手を出せない。そういう決まりだからね」
神は存在としての格が人間に比べて桁違い故に、世界に
バグの例を挙げると天地がひっくり返ったり、ありとあらゆる生物の姿が異形の化け物に変わったりと無茶苦茶になる。
そのため、神は一つの世界に二柱以上存在してはならないことになっている。言い返せば一柱までなら存在していいことになる。
しかし、アルバスが管理している世界に現れた異神は神と同等の格を持つ。
コイツの存在によって神が異神を始末しようと世界に降り立った瞬間、世界がバグるという最悪な状況になっている訳だ。
今のところ対抗策は思いついていないと、この前聞いたが、アルバスの顔を見るに状況が変わったと見える。
「……でも、これ以上暴れられるのは癪に障るよねってことで鍵となるのが【天の声】だ」
「あっ、やっと本題移りましたね」
「僕たち神が世界にバグが起きない範囲で数名の人間に力を貸す。その力の概要の説明だったり、やるべきことを指示するのが天の声の役割さ。分かったかい?」
……分かったけど、中々に難しいこと言ってくんなこの神様。毎度無茶ぶりが凄いと思ってたが、とうとうここまで来たか。
「理解はしました……その上で2つ目の質問です。私が選ばれたのは何故ですか?」
「君、面倒見よさそうだから」
「……それだけですか?」
「それだけ」
神のいい加減な発言に思わずため息をつきそうになる。
そんな選考基準かよ!しかも俺そんな面倒見よくないし!すげぇ偏見じゃん!
「……ストライキ起こしていいですか?」
「良いけど、その場合君の意識消去して自動的に働き続ける人形にするよ?」
「……セイシンセイイガンバリマス」
「よろしい。じゃあ行ってらっしゃい」
マジこのクソ神覚えてろよ。
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