心に描いた青空 I 〜僕らのそばに

内藤結那

波打ち際の足跡

砂って こんなに冷たいんだ

夏じゃなくなった波打ち際を

裸足で歩いてみた


あなたと歩いたのにね

つい 昨日のことのような

幻のようにしか思い出せない


ひとりぼっちで

海岸沿いを走る電車で 家へ帰る

もう 日暮れても灯は点いていない


知らなかったよ

恋が終わったら こんなに寂しいなんて


だったら

知らないままが良かったんだ

永遠の片思いは 幸せではないけれど

少なくとも 不幸せを運んでくることはない


けれど

鈍感な私は いつかまた

誰かを好きになって


同じように はしゃぎ

同じように 寂しさに心を撃たれる


いいじゃないか

素敵じゃないか


波打つことの無い人生なんて

塩を忘れた料理 味気ない


だから

私は 明日も恋を求めていく

砂浜に また足を置くように

何度 波に消されてしまっても

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